第14話 目的地②
リーダー級以外のコボルトウィザードとゴブリンメイジたちは、ルカに引き付けてもらったところを、新たに習得していたスキルにより、一気に蹴散らす。
【廻転斬りLv2】
―体を回転させて、範囲内の敵を薙ぎ払う。【廻転パリィ】からの連携使用も可能。
発動代償:MP消費、騎士の職業ランクC以下だとスキル動作鈍化
維持代償:なし
職業に就いてないから、デメリットはあるがルカの陽動のおかげで一撃さえ入ればその辺は気にならない。
問題はMP消費をしたことで、【混沌の一撃】は2回しか使えない点だ。相手は2体だから、それぞれを一撃で仕留めないといけない。
すると2体の真魔はお互いの杖を交差させると、何やら呪文らしき鳴き声を出した後、黒く妖しい光球を作り出し射出した。
「マズいっス!!あれは着弾時に広範囲に爆発するっス!!」
ルカのその一言で構えを解いて、全力で着弾地点から離れる。光球は激しい爆発音とともに周囲を吹き飛ばし、発生した衝撃波により転んでしまったが幸いにもダメージには至らなかった。
その直後であったが真魔2体はスキルを使った反動か、動きが鈍っているようだった。
「この隙に一度攻撃を入れるっ!!ルカも続いてくれっ!!」
深く頷くルカとともに攻勢に出る。相手の頭部めがけて【混沌の一撃】を放った。
「グゥオォォッ!!」
ダメージは与えたようだが、仕留めるには至らない。
「くっ・・!マズいな。長引けば不利なのは俺たちの方だ。」
「そうっスね・・。自分もさっきの爆発で足を少しやったみたいっス。万全ではスキルが使えそうに無さそうっス。」
すると2体の真魔は再び動き出し、杖を交差して光球を作り出した。今度は先ほどよりも大きく複数の光球を作り出す。
「クソっ!!もう逃げ場が無いぞ!!」
万事休すか。出だしでうまく戦えて、スキルも手に入れていたからと調子に乗ったのが良くなかったのだろうか。
光球が今にも放たれようかとしているとき、俺の真横を凄まじい突風を伴った透明な刃のようなものが通り過ぎていった。
「「グギャァァアァっ!!」」
2体の真魔は急に飛んできたそれに四肢を一瞬にして切り裂かれる。
発動間近だった光球は放たれることはなくすうっと消えていったが、ルカと俺は何が起こったのか分からずお互いに顔を見合わせる。
「とりあえずまだ終わってないっス!とどめを刺すっス!」
俺はハッとし、すぐに剣を握って2体の真魔の首を切り落とす。そしてすぐさま、真魔を追い込んだ者の方を振り向いたが、そこには誰も居なかった。
「なんだったんだ、さっきのは?」
「いいじゃないっスか。とりあえず命は繋がったっス。」
「・・・あぁ。それより足怪我したんだろ?大丈夫か?」
ルカは気丈に振舞って見せたが、お互い気疲れもあってかキャンプ地へ急ぐことにした。
キャンプ地は今いる場所からすぐの丘を越えた先にあり、不用意な戦闘に巻き込まれることもなく無事にたどり着くことが出来た。
「自分はしばらく手当をして休んでるんで構わなくても大丈夫っスよ。」
「そうか?なら俺は少し情報収集のために周りの冒険者に話を聞いてくるよ。」
ういっスと返事をするとルカはコテージの部屋へ入っていった。
「さて、まずはさっき倒した真魔のスキルを見てみるか。おっ魔法系が解放されてるな。これはまぁ、取っておくか。」
【狂い咲く炸裂弾Lv2】
―闇属性の魔法弾を放つ。着弾時の吹き飛ばし性能が高く、スキルレベルが高いほど爆発範囲と同時生成できる魔法弾の数が増える。
発動代償:MP、使用後に行動不能(10秒)
維持代償:なし
【悪知恵Lv2】
―闇属性魔法スキルの発動代償を40%カット。
発動代償;なし
維持代償:聖属性魔法スキルの発動代償倍化
今のところ行動不能が無くならないのはキツいが、とどめの一撃だったりルカの陽動で集めた真魔を一掃するには良さそうだ。
あとは、コストがかからない低級スキルが解放されていたので何個かでそちらも習得する。何かと手数はなるべく揃えておいた方が良いだろう。
「よし、あとは買い物でルカにも何か栄養のあるものを買って行ってやろう。」
すると視線の先に王国騎士らしき集団とギルドの商人の集団が集まっており、何か話しているようだった。
「すると、この先の毒草地帯に向かうのを見たと?それは間違いないのですか?」
「ええ、私どもも長いことこのキャンプ地での行商をしておりますがあのような真魔は見たことがありません。
それだけでなく、近隣地帯の真魔の活動が活発になっております。」
王国騎士はふぅむと考え込むようなそぶりを見せると、周りにいた部下であろう騎士たちに呼びかける。
「我々は明日、目撃情報を元に毒草地帯の調査をする。毒対策や武器の整備は怠らないように。」
部下の騎士たちは礼儀正しく返事をすると簡易的な隊舎のようなところへ戻っていった。
「私どもでも、解毒薬など出来るだけ用意できるようにしておきます。」
隊長らしき人物はうむ、と返事をすると部下たちの後に続いて隊舎に戻っていった。
王国騎士が部隊を率いて動いているということは、これから向かう場所で何か事件でもあるのだろうか。
とにかく今日のところは嫌な汗をかいたから俺も早めに休むことにした。
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