10/16
式の準備
ロゼはぼんやりと部屋の窓から外を見下ろす。
結婚式の招待客が城に到着し始めていた。
特に目を引くのはチューリップの紋を刻んだ二台の馬車だ。
一台は白色、もう一台は黄色のチューリップが描かれており、二つの馬車は女神の墓守である辺境伯家の紋章だ。
シェルベルク国の三花と呼ばれる辺境伯達は互いの冠婚葬祭には必ず出席すると聞いたので、明日の挙式のために遠いところをはるばるお越しいただいたのだろう。
招待客の中で注意して欲しいとアーキンスから伝えられたのが、白色の辺境伯であるグレゴール・ブランシュ伯爵だ。
あまり性格が良くないのは社交界でも有名で、聖女達の間でも度々話題となっているのでロゼも噂だけは知っている。
ギャンブルと女遊びが好きで、傲慢で横暴な性格らしい。
女としての価値を自分に見出せる男はおそらくいないのでそちらは心配ないが、誹謗中傷も大好きらしいので精神的に傷を負うことを避けるためにも近づかないで欲しいとのことだった。
やっぱり、伯爵は優しい人なのよね。
伴侶としては求められていないのは理解しているが、娶ってくれたのがアーキンスで良かったとロゼは思うのだった。




