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198.みんながお見舞いに来てくれました! 前編

閑話も含めて、今日で200話到達しました!


もう少し平和回が続きます。それ以降は一気にクライマックスまで走ります。

最後までよろしくお願いします。

 扉が開いた瞬間でした。


「リベアちゃん無事ー!? ずっと心配だったんだよ」


 真っ先に駆け寄ってきたのはニーナさんでした。勢いそのままに距離を詰め、その後ろからドロシーさんとヴァネッサさんも続きます。


 思いがけない再会に、リベアの表情がぱっと明るくなりました。


「ニーナちゃん! それにみんなも!?」


 ここに運ばれてきてからは、わたしやソフィーといった限られた人との面会しかなかったですからね。ずっとベッドの上でしたし良い気分転換にもなるでしょう。


「まったく……心配して損しましたわ。ずいぶんとお元気そうで。どれだけ大賢者様にご迷惑をおかけすれば気が済むのかしら」


 腕を組み、わざとらしくため息をつくドロシーさん。


 ですが――。


「ドロシーちゃんはこんなこと言ってるけどさ、リベアちゃんが運ばれていった時、一番取り乱してたんだよ」

「そうそう。お見舞いに行こうって一番最初に言いだしたのもドロシーだしな」

「ちょ、あなたたち! それは言わない約束でしょう!?」


 すぐさま二人に暴露され、ドロシーさんは顔を真っ赤にしました。


 そのやり取りに、部屋の空気が一気に和らぎます。


 リベアがいない間に、三人はずいぶんと仲を深めていたようでした。


「ドロシーぃ――。ありがと!!」

「~~~っ、離れてくださいまし!」


 勢いよく抱きつくリベアに、ドロシーさんは抵抗しながらも、完全には振りほどけず、なされるがままになっています。


(彼女の存在を綺麗さっぱり忘れていることは、逆に良かったのかもしれませんね)


 これは会議の中で聞いた情報の一つですが、どうやらドロシーさんの中から、“シェラ”というメイドがいた記憶は消えているようです。ご家族も同様に。


 本当に、恐ろしい洗脳魔法です。



「……ずっと考えてたんだ」



 ふと、ヴァネッサさんが声の調子を落としました。


「何を?」


「リベアがこうなったのは……止められなかったあたしたちのせいなんじゃないかって」


 その言葉に、ニーナさんとドロシーさんも視線を落とします。どこか申し訳なさそうに、言葉を失っている様子でした。


 ですが、リベアはゆっくりと首を横に振ります。


「そんなことないよ。これは危険だと分かってて飛び出した、私の自業自得。でも、後悔はしてない。みんなも来てくれてありがとう」


 そう言って、三人を見つめました。


「リベア」

「リベアちゃん!」


「――っ~!」


 次の瞬間――四人は自然と抱き合っていました。


「えへへ~! ドロシーも!」

「……こういう柄じゃ、ありませんのに」


 言葉にしきれない想いを確かめ合うように。


(言葉とは裏腹に嬉しそうですけどね。ドロシーさん)

 

 その様子を、少し離れたところから保護者面して眺めている二人がいます。


――わたしとソフィーです。


「ソフィーの事ですから、お見舞いの話も、てっきりわたしを部屋の外に誘い出すためだけの口実かと思っていました」

「疑われてたわけね。まあ、口実にしたのは事実だけど」


 肩をすくめながら、ソフィーは苦笑します。


「でもちゃんと来ているでしょう? さっきもあったと思うけど、あの子たちの他にも複数のグループがお見舞いに来ているのよ。リベアちゃんは人気者ね」


「そりゃあ、わたしの弟子ですからね」


 少しだけ、自分の事のように胸を張ってみせます。


 それを見たソフィーは、くすりと笑いました。


「よかったわねー。どこかの師匠に似て、だらしない引きこもりのコミュ障にならなくて」


「……それ、喧嘩売ってます?」


「あら、自覚あったの?」


 じとりとした視線を向けますが、ソフィーはどこ吹く風です。


――それでね、あの事件のあと授業が……。

――意外にもあの先生が。

――ええ、うそー!!


 リベア達は学院の話で盛り上がっているようでした。楽しそうですね。


 やがて、しばらく談笑が続いたあと、ソフィーが軽く手を叩きました。お見舞い終了の合図ですね。



「悪いけど、最初に話した通り、そろそろ退出の時間よ」



 場の空気を壊さないよう、穏やかな声で告げます。


「感染の危険は限りなく低いとは思うけど、まだリベアは完治したわけじゃないの。あんまり無理はさせられないわ」

「三人とも、リベアのために来てくれてありがとうございました。わたしは暫く学院には戻れそうにありません。申し訳ないです」


「とんでもないです! ティルラ先生も頑張ってください!! グラトリア様も、リベアちゃんの事よろしくお願いします」

「あたしからもお願いします」


「リベアの事。よろしくお願いいたしますわ。それとこちらは、先生に……」


「? ありがとうございます」


 三人とも、とても物分かりの良い子たちでした。そしてドロシーさんからはこっそり手紙らしきものを渡されました。ラブレターでしょうか? 後で確認することにしましょう。


「リベアちゃん、またすぐ来るからねー!」


「ちゃんと安静にしとけよー」


「このあと、実家から最高級の果物をお送りしますわ。ティルラ先生とご一緒に召し上がってください」


 口々に声をかけながら、三人は名残惜しそうに部屋を後にしました。


「みんな……」


 扉が閉まると、再び静けさが戻ります。リベアも寂しそうでした。でもすぐに次の組がやってきます。


――見舞いの時間は、一組につき十五分。


 そして、まだあと三組が控えています。


 ドロシーさん達の次にやってきたのは、大賢者ファンクラブ代表の方々と、学院でドロシーさん達とは別に親しくしていた子達でした。


 人数も多く、先ほどよりもいっそう賑やかな空気が部屋に流れ込みます。


「リベア様! 学院を守っていただき、本当にありがとうございました!!」


 先頭に立っていた一人の少女が、勢いよく頭を下げました。


「私、あの時キメラに襲われていたところを助けていただいた者です。本当に……死んだと思いました」


 顔を上げたその子の瞳は、まるで光を宿したかのようにきらきらと輝いています。


 まっすぐに向けられるその強い感情に、リベアはたじろぎ、困ったようにこちらへ視線を送ってきました。こんな時、どうしたらいいのか分からないのでしょう。


(ふふ、うちの弟子は困ってる顔も可愛いですねー)


 わたしはあえて何も言わず、温かい目で見守ることにしました。


 大賢者の弟子を名乗るのであれば、こうした称賛や感謝にも、いずれ慣れていかなければなりません。


「わ、私は何も……結局、師匠が全部解決してくれましたし……こんなふうに足手まといになっただけです」


 しどろもどろになりながらも、リベアは必死に言葉を返します。ですが。


「そんなことありません」


 少女はきっぱりと言い切りました。


「確かに、大賢者様がいなかったら事態は解決しなかったでしょう。――でも、リベアさん。あなたに救われなかったら、私はここにいません。その事実が、リベア様の価値を証明しています。私を助けてくれたのは、大賢者とその弟子の、お二人なんですよ」


 迷いのない言葉でした。


 その真剣さに、リベアは息を呑みます。


「……私、ファンになってしまいました。これからは“大賢者の師弟”という形で、箱推しさせていただきますね」


 どこか照れくさそうに笑いながら、そう続けます。


「それと――こちら、ファンクラブからです。どうかお受け取りください」


 差し出されたのは、丁寧に封をされた手紙でした。


 同じ手紙でも、ドロシーさんのものとは、一つだけ違う点があります。


 彼女たちは、わたしだけでなく――リベアのことも、学院を救った“英雄”として見ているのです。


 その為、手紙はわたし宛とリベア宛、二通がそれぞれ用意されていました。


 続いて声をかけてきたのは、ファンクラブほどの熱量ではないものの、落ち着いた様子の生徒たちでした。


 それでも、その言葉の端々からは、確かな信頼と親しみが感じ取れます。


 リベアが学院でどれほど慕われていたのか、その一端が、はっきりと伝わってきました。


 短い時間の中で、何度も交わされる感謝と労いの言葉。


(同年代と過ごすことが少なかったリベアにとって、学院で過ごした時間は濃密であり、よい成長に繋がったみたいですね)


 リベアも最初こそ戸惑っていましたが、次第に一人ひとりの言葉に、きちんと向き合うようになっていきます。


 やがて、その組の見舞いの時間も終わりを迎えました。


 生徒たちは名残惜しそうにしながらも、順番を守り、静かに部屋を後にしていきます。 


 入れ替わるようにして、次のお見舞い人が扉の向こうに姿を見せました。


 その人物の顔を目にした瞬間――。



「――えっ!?」



 リベアが、思わず大きな声を上げました。

ここまで読んで頂きありがとうございます!


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 皆様の一手間が更新の励みになります、どうぞこれからも宜しくお願いします!!


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