ウメガメ
俺と父さんが話していると、玄関の扉が吹き飛んだ。
ドアノブだけでなく全部壊すのか、母さん。
扉があった場所には先ほど出て行った母さんが立っていた。
その顔はいつも通りの全てを威圧しそうな顔だ。
「クロエ。 他の四人を呼んでこい。 外で待っている。 シルバードも」
「う、うん?」
「……レインちゃん達を呼んできなさい。 理由は後でわかるから。 すぐに動ける状態にしていなさい」
そう言って俺の肩を叩く父さん。
わけもわからない内に父さんと母さんは行ってしまった。
とりあえずレイン、アティア、フロース、ミセリアを呼びに行く。
ドアノブの壊れた食堂の扉を押すと、目当ての四人と慌てふためくドラゴン達(人化状態)がいた。
俺が食堂に入るとレインが駆け寄ってきた。
「クロエ! サクラナさんはどうしちゃったの!?」
泣きそうなレインの頭を撫でる。
「俺もよくわからんが多分大丈夫。 すぐにいつも通りの母さんに戻っていたから。 それとみんな、母さんが外に集まるようにって言ってる」
「……何をするのですか? まだ、朝食の途中なのですが……今日は私も手伝ったんですよ」
確かにテーブルの上に並んでいる料理は、見馴れた美味しさを感じさせている。
「悪いとは思うけど、変に母さんを怒らせたくないから、頼む」
「そういうことなら仕方ないですね……」
俺たちが話しているところに一人の男性が近づいてきた。
見た目は初老で髪型はオールバック、背は高く筋骨隆々でスーツがピチピチだ。 それ以上に特徴的なのが左眼の酷い傷だろう。
男性が俺の前で一礼する。
「クロエ様、私はウメガメと申します。 シルバード様に竜達の統率を任されております」
「それは……大変そうですね」
「いえ、私も喜んでしておりますのでそれほどでも。 して、一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「いいですよ」
「サクラナ様の様子は大丈夫でしたか?」
なんでそんなことを聞くのかねぇ?
「どこもおかしくありませんでしたよ」
「それは良かった。 それでは私達はいつも通りの業務に邁進しましょう」
ウメガメさんが手をスッと振ると、後ろでドラゴン達が散り散りになっていった。
「それでは、失礼いたします」
ウメガメさんは静かに歩いて行く。
「誰よあの人?」
フロースが聞いてくるが、あいにく昔の記憶を思い出せない。 初対面では無いはずなんだがなぁ。
「きっと凄い人だと思うけど」
次は久々のバトルです




