対人特化の竜騎士
「まだ竜騎士の制度ができる前。 私とサクラナが、バグノートに対抗しうる力を集めている時に出会った一人の少女が、アルマ・ミーレス。 最初で最後のサクラナの弟子だよ」
「母さんに弟子がいたとは知らなかった」
父さんが苦笑する。
「アルマが普通の少女だったならば、サクラナが気にすることはなかっただろうね。 まぁ、出会い方が衝撃的だったから」
「どんな?」
「サクラナを暗殺しようとしていた」
さすがに驚いたわ。 母さんを殺そうとするアホがいるとは。
「確かに暗殺は失敗した。 けど、アルマはサクラナの首にかすり傷をつけることはできた」
「ただの人間が、母さんに傷を?」
「アルマは孤児だったらしくてね。 家を魔物に襲われたそうだ。 自分一人の力で精一杯生きていたお陰で、優れた身体能力を得た。 それに目をつけた奴が暗殺の技術を教えたらしい。 厄介なことにそいつが母さんを恨んでいてね。 アルマは素質があったばかりに利用されていた。 だからサクラナが保護したんだ」
「母さんが保護の選択肢をとったことに驚いたんだけど……怒って返り討ちにしそうなのに」
「昔の自分と重ねたんじゃないかな? サクラナも一人だったから」
「そっかぁ。 それで母さんはアルマ……さん? に何を教えたの?」
「自分自身の対人戦闘の技術。 本当はそれ以外も教えたかったみたいだが、過去のトラウマで人間以外には、まともに接することができないみたいでね。 私ともほとんど喋らなかった。 アルマにとってはサクラナが母親がわりだったんだろうな」
「じゃあ俺のお姉さんになるのかな?」
「ハハハハハ!」
父さんが大笑いする。
「そうかもな! そういえば、アルマはドラゴンの卵を拾ったことがあるな。 最初は食べるとか言ってたのに、孵化してしまったらば、何が起きたのかわからんが、そのドラゴンにだけは心を開いていたな」
「じゃあ、二人は竜騎士になったんだね?」
「そうだな。 竜騎士の制度はなくとも、二人は相棒だった。 私たちが正式な竜騎士制度を作ってからは、竜騎士嫌いの国ティタンを一人で管理していた……だが、それがいけなかった」
「……壊されてしまった?」
「そう、やられた。 おそらく、魔物の大群に襲わせたんだろうな。 魔物を前にしたアルマは、赤子同然の弱さ。 アルマを守るのもパートナーのドラゴンだけでは限界があるからな」




