謎の竜騎士
高速で空を飛び、光る物の場所へと移動したユリアとハクは、それの正体を見た。
灰色のドラゴンと、その背に立っている女性だ。
女性は茶色の髪を一つにまとめており、着ている服は全身をすっぽり覆う物で、全体的に余裕がありそう、袖に広い隙間がある。
ドラゴンの方は規則的な羽ばたきで滞空していて、その眼は油断なく周りを視界に収めている。
空を飛ぶドラゴンの背に立つという危険なことをしている謎の竜騎士に対して、ユリアが声をかけようとする。
「あなたたち何をっ——!?」
体を落としたハクに引っ張られて、ユリアの言葉が終わる。
突然のことに抗議をあげようとしたユリアは、舞い上がった自分の髪の先がパラパラと落ちていくのを見た。
〔あいつがナイフを投げた。 あれは首を狙っていた〕
〔私には見えなかった……とにかく、危険人物なのは間違い無いと思う。 捕縛しましょう〕
〔了解〕
短く意識の中で会話した二人は目の前の敵に攻撃を始める。
大きく咆哮を放ったハクが、灰色のドラゴンに鋭い爪を振るう。
灰色のドラゴンはそれをギリギリで躱す。
ドラゴン同士がすれ違う瞬間、ユリアは女竜騎士に向かって呼び出した竜装の剣を振った。
しかし、それよりも早く女竜騎士の両腕が動き、ユリアに向かって二本のナイフが投擲された。
ユリアは攻撃を諦めて、剣でナイフを弾く。
一旦離れて、再び攻撃をするハクだが、灰色のドラゴンはそれを避け続けて、当たらない。
ハクの口から炎が吐き出される。 何もしなければこの炎で焼けてしまうだろう。
広く広がった炎が灰色のドラゴンの姿を覆い隠す。
炎が途切れ、再び灰色のドラゴンの姿が見えた時、その背中に女竜騎士がいなかった。
驚くユリアは、左側からの衝撃にハクの背から落とされた。
〔ユリア!〕
すぐに助けようとするハクに灰色のドラゴンが妨害をいれる。
落下するユリアに女竜騎士が覆いかぶさる。
女竜騎士の右手がユリアの首を掴む。
「うっ、ぁあ!?」
命の危険を感じたユリアは、捕縛を諦めて、剣で女竜騎士を突き刺そうとした。
ユリアの腕が動いた瞬間、女竜騎士の左腕の袖からナイフが飛び出し、ユリアの手首に突き刺さった。
手の力が抜けて、ユリアの手から剣が離れる。
首を掴む女竜騎士の腕に力が入る。
ユリアはたまらず女竜騎士の腕を掴むが、ユリアが竜騎士としての全力を出してもビクともしなかった。
「ユリア君!」
消えそうな意識の淵でユリアは、聞き慣れた声に呼ばれるのを聞いた。
次で学校側の話は終わりです




