人化
レインとアティア、ミセリアはシルバードと三頭のドラゴンと一緒にいた。
場所は館から一山超えたところの平原だ。
レイン達はドラゴンの姿のままだが、シルバードと三頭のドラゴンは人化をしていて、さらに背中には翼が生えている状態だ。
「お前達もとりあえず人化してくれ」
シルバードの指示に従い、レイン達は人化の魔法を自身にかける。
光に包まれるとすぐに形が変化し、いつも通りのドレスアーマーを着た人の姿へと変わる。
「どうですか? 何かおかしい所はありましたか?」
レインが不安そうにシルバードに聞く。
「何も問題は無いな。 速度も申し分ないし、完全に人の形になれている。 ちなみに聞くが、お前達の人化の姿は母親の人化を見て想像したのか?」
「私はそうです」
「私もですね。 母がそうだったそうなので私もそうするようにと言われたので」
「私は違うんだよね——両親は死んじゃったし。 アレスタントと一緒にいた時に見たことがある人を混ぜた感じ」
ミセリアの言葉にシルバード以外のドラゴン達が気まずい空気を感じた。
シルバードはと言うと、その程度よくあると、長く生きた竜帝的な考え方をしていた。
第一に、館のドラゴンはほとんどが親無しのドラゴンなのだ。
「まぁ、そのことはいい。 お前達の課題についてだが、夏休みの間に人化した状態での戦闘方法を身につけてもらう。 無論、翼を出しての空中戦もだ」
「質問してもよろしいでしょうか?」
アティアがスッと綺麗に手を挙げる。
「はい! アティア君、なにかな?」
それをシルバードがなぜかノリノリで当てる。
「わざわざ人化をして戦う理由はなんでしょう? その状態では背に竜騎士を乗せることができませんが?」
「いい質問だ。 お前達がなにを基準に竜騎士とするか大体想像がつくが、ドラゴンの背にライダーが乗らなくとも竜騎士は竜騎士だ。 俺とサクラナのようにな。 それにぶっちゃけドラゴンの状態は燃費が悪い。 ファスタルが使った魔法をいじって創り出された人化の魔法だが、魔法を維持するよりもドラゴンの状態の方が疲れる。 あれだけの巨体を活動させるにはエネルギーが大量にいるからな」
「なるほど。 戦いに効率を求めるために人化を極めろと」
シルバードが大きく頷く。
「お前達の経験してきた戦いなんてほとんど一瞬のようなものだ。 だが、これから教えるのは長期にわたる戦いの中で生きるための技。 妥協は無しだ。 必ず力を手にしろ!」
「「「はい!」」」
レイン、アティア、ミセリアが気合の篭った返事をする。
それを確認したシルバードは翼を広げて飛び上がる。
いきなり実戦かと思ったレイン達が身構えるが……
「てことで、後のことは任せたぞ、お前達! 俺は向こうの川で釣りをしている。 成果がでたら教えてくれ。 じゃあな!」
機嫌よく飛んでいくシルバードを見て、レイン達は大きなため息を吐いた。
「生き残るため」じゃないのは誰も死なせる気がないからだったりする




