奇跡の一割
俺が血と睨めっこしている間、母さんはフロースと話始めた。
「フロースには概念魔法を覚えて貰うからな」
フロースがポカンとする。
「私がそれを? ファスタルでもないのにですか?」
「前に話たが、今いる種族というのはファスタルが魔法で姿を変えた姿だ。 奴らの中にもほんのわずかだが、ファスタルの血が残っている」
「つまり、私達人間にもファスタルの血が残っているんですね」
「そうだな。 だが、お前の家は特別なんだ。 私もローザに初めて会った時は驚いたよ。 まさか、一割もファスタルの血を残した者がいるとはな」
一割!?
……すごいのか?
「全くもって奇跡だった。 ローザに合わなかったら二百年前の戦いには勝てなかったかもしれない」
「もしかして、多重魔法使用はサクラナさんがおばあちゃんに教えたんですか?」
「まぁな。 理論じたいはあったんだが、私ではどうしてもできなくてな。 ちなみに、ローザの髪が白いのは多重魔法使用の副作用だ。 魔法の処理をするのに、脳に負荷がかかってな」
「それは初めて聞いたな。 じゃあ、フロースの赤髪の先の白髪は魔法の後か」
「私は知ってたけどね。 それでサクラナさん。 私は何をすればいいのですか?」
「フロースはクロエより物覚えがいいからね、簡単なことだよ。 とにかく世の中の事を覚える」
そういって母さんはフロースの机の上に厚い本をポンポンと積み上げていく。
ていうか、ちゃっかり俺のことを馬鹿にしてないか?
フロースは適当にとった一冊の本を開いて、すぐに顔をしかめた。
「……なんか、難しい言葉が並んでる」
俺も昔読んだ記憶がある。
ほとんど覚えられなかったけど。
「安心しろ。 私はお前達に付きっ切りで教えるから。 クロエもこれを期に概念魔法の復習でもしな」
母さんは笑顔でそう言うが、これは悪い顔だ。
「しかも、毎日宿題つきだぞ? 嬉しいだろ?」
嬉しくないわ!
魔法生物的なファスタルの髪が白いのはそういうことです




