決意
「まじかよ……」
まさか隣国のティタンが敵だとは思わなかった。
魔竜王がいたのはティタンの研究所だったらしいが、国自体が敵だとは。
しかも、それに悪竜バグノートが関わっていると。
「ティタンの南側に何があるか知ってるか?」
母さんが聞いてくる。
それにアティアが答える。
「ティタンの南側には海が広がっています」
「じゃあその向こうには?」
今度はフロースが答えた。
「授業で習いました。 魔族の住む、黒の大陸があるんですよね?」
「その通り。 そして、ティタンと魔族は繋がっている」
「てことは、魔族も敵ってことかい……」
「そうだぞ」
父さんが肯定する。
「まぁ、そもそもあいつらは昔から敵だったけどな」
昔から!?
「でも、黒の大陸にいるならこっちの大陸には干渉しづらいんじゃないの?」
大陸どうしの間は決して近くはない。
敵だとしても、手も足も出せない気がする。
「そもそもの前提が間違ってるぞ、クロエ。 魔族が黒の大陸に住んでいるのは、そうするしかなかったからだぞ」
あぁ……なんとなく嫌な予感がする……
「つまり?」
「私達が追い出した」
「ですよねー」
母さんならやっていたとしてもおかしくない。
「ゴミを不法投棄するような奴らは追い出されても文句を言えまい」
「そんなに困るゴミを捨ててたの?」
「困るもなんも、あいつらが捨てたのは魔物だからな? 失敗したからってポンポン兵器を捨てられたら、困るだろ?」
「兵器って、魔族は戦争でもするきだったのか?……まさか、こっちにもバグノートが関係してるのか?」
「正解。 二百年前、ティタンと魔族は悪竜バグノートの手を借りて戦争を起こそうとした。 それを事前に止めようとした戦いが例のアレ」
母さんの悪名が轟いたドラゴンの大量殺害か。
実際は母さんと共闘した父さん——竜帝に付き従ったドラゴン達が大勢死んでしまったという悲劇だ。
「それからだな、ティタンが極少数の竜騎士しか常駐させなくなったのは。 まさか、もう一度戦争を起こすことはないと思ったんだがな」
母さんが顔をしかめる。
「まぁ、そういうわけでレインちゃんの父さんである竜王を助けるのに、戦いは避けられないわけなんだよね」
レインが拳を握りしめる。
「それでお父さんを救えるなら私は戦います!」
「そういうと思ったよ。 でも、今の君は弱いからなぁ。 連れて行くわけにはいかないね」
「そんなっ!」
父さんの言葉にレインが叫ぶ。
「まあまあ話は最後まで聞いてな、レインちゃん。 確かに今の君では足手纏いかもしれないけどね、なんのために君は今ここにいるのかな?」
なるほど、そういうことか。
「この夏休みの間に、君達にはここで徹底的に力をつけてもらう。 一切の手加減無しでね。 もし、それに耐えて、力を手に入れられたのなら、連れて行ってもいいよ」
「必ずや、お父さんを助けるための力を手に入れてみせます」
レインの答えに、父さんがうんうんと頷く。
「そんじゃ、まずは腹ごしらえでもしましょうかね」




