使用人兼——
レイン、アティア、ミセリアは全速力で空を駆ける。
目指すは母さんの待っている家だ。
ドラゴンどもは四方八方から俺たちを攻撃してくる。
途中までは回避できていた攻撃も、次第に手数の多さに避けきれなくなってきた。
「ガァゥ!?」
一頭のドラゴンの鉤爪が、レインの脇腹を掠めた。
〔大丈夫か、レイン!〕
〔痛いけど、血はあまりでてないから大丈夫〕
そうは言っているがレインの速度は少し落ちている。
このままでは囲い込まれるだろう。
正面から口を大きく開けたドラゴンが向かってきた。
炎を吐く気だろう。
〔レイン、真っ直ぐ行くんだ〕
〔うん? わかったよ!〕
レインは困惑気味だがわかってくれた。
このままいけば丸焼きだが、そうはさせない。
俺は正面のドラゴンの左右の翼が来る位置に空気板を作り出す。 無論、レインとアティアの手助けなしの、無駄な魔力を込めまくった硬いやつだ。
空気板は俺にはオレンジ色っぽく見えるが、他の奴には無色透明だ。
故に、場所がわからない。
正面から来ていたドラゴンは、翼を空気板にぶつけて空中でバランスを崩した。
吐き出された業火はあらぬ方向へと広がり、俺たちには何の支障もきたさなかった。
その隙にレインは速度を上げてドラゴン達から離れる。
後ろを振り向くと、少し遅れてアティアもついてきていた。
しかし、ミセリアとフロースは進めずにいた。
地面ではめっちゃ強いミセリアの対竜格闘術も、空の上だと無意味になのだろう。
〔レイン、アティア! ミセリアの周りのドラゴンを追い払うぞ!〕
〔助けるよ!〕
〔了解です〕
レインとアティアは、左右に分かれてドラゴン達に攻撃をくらわせる。
十数年しか生きていないレイン達の身体の大きさは奴らよりも小さい。
それでもドラゴンの攻撃であることに変わりは無く、ドラゴン達は攻撃を避けるために、ミセリアから離れざるをえなかった。
〔よし、一気に進むぞ!〕
〔ありがと、レインちゃん、アティア〕
〔いやはや、危なかったよ〜〕
追いかけて来るドラゴンを気にしながら、前方を確認して家を探す。
ふと、木々が開けた場所に、広い平原が現れた。
〔クロエ! あれではないですか?〕
アティアの見つけた場所を見ると、そこには場違いな白い館がひっそりと——しているわけもなく、堂々と建っていた。
白い館は俺の記憶と一致する。
半竜の目でじっと見れば、庭らしき場所に母さんの姿が見えた。
〔アレだ、あの館の前に母さんがいる! あそこまでいけば安全だ! 多分〕
俺の言葉にレイン達が精一杯、翼を動かして加速する。
レイン達が轟音とともに着地すると、俺はすぐに母さんのもとに走った。
「母さん! 変なドラゴンに襲われたんだけど!」
「おっ、無事に着いたか。 若干怪我をしているな。 ほらよ」
母さんがレイン達にポンポンと触れて行くと、瞬く間に傷が塞がっていった。 というか、消えた。
「ではなくて、あのドラゴンなに?」
「そうだな、説明してやる。 よし、お前らもう良いぞ!」
母さんが空を旋回していた、ドラゴンに声をかけると、そいつらは光とともに人化をして地面に降り立った。
そして、ダダダッと駆け出し、母さんの前で隊列を組んで敬礼をし、休めの姿勢で直立不動になる。
「先に戻って昼飯の支度をしておいてくれ。 あと、シルバードも起こしてこい」
「「「イエッサー!!」」」
母さんの指示に彼らは応答すると、一斉に行ってしまった。
母さんは俺たちの方を見てから、口を開いた。
「あいつらは使用人兼戦闘兵兼荷物持ち兼……実験台だ」




