サクラナメモリー 二
難しいですねぇ
サクラナは村の中を一人歩いて森に向かう。
村の建物は全て白一色で、村に住む全ての者達の髪と同じ色になっている。
村に住むのは人間ではない。
はるか昔に誕生した彼らは高い知能を持ってして他の生物のような群ではなく種族として名乗りを上げた。
それがファスタルである。
彼らが他の生物との生存競争に勝ったのは決して知能の高さだけではない。
生物としての身体の強さだけで言えばファスタルよりも強い生物は存在していた。
それを覆したのが環境への圧倒的な適応力と魔法だった。
そんな彼らはそれぞれが好んだ環境に住んでいくうちに魔法によった姿を作り変えていき、新たな種族として世界に散って行った。
平地を好み力は弱いが数の多かった者達は人族へ。
自然を好み高い身体能力と魔法の力を持った者達はエルフ族へ。
物を作ることに喜びを感じたが故に素材の多い山奥に住み始めた者達がドワーフ族。
放浪をしていくうちに強さと存在を示すために身体を大きくして行った者達は巨人族へ。
ファスタルの中でも特に魔法に秀でていた者達は魔力の溢れた大地に住む魔族へと。
そして、大空を支配し、肉体的な姿をより戦闘向きに変えて行ったのが竜族である。
◇◆◇◆◇◆◇
単色でつまらない建物の間を進んでいたサクラナの前に、先ほど外で遊んでいた子供達がいた。
しかし、ほとんど引きこもりと言っても過言ではないサクラナは、最年長のアムと言う青年しかわからなかった。
子供達のほとんどはサクラナと同い年か少し下かだが、誰一人として名前がわからない。
一人で歩いていたサクラナにアムが気づいて声をかけた。
「こんにちは、サクラナ。 今日はどこかに行くのかな?」
「……どうも。 森に薬草を採りに行くところです」
「薬草か……僕たちも一緒に行くよ。 皆んなもそれでいいかな?」
「行こうー! 森楽しそう!」
「お花畑に行きたいなー」
アムの言葉に賛同する子供達を見て、サクラナは顔をしかめた。
正直、サクラナ一人の方が効率が良かった。 そもそも、子供達は遊ぶつもりのようだが、相手の名前を知らないサクラナとしてはつまらないの一言だ。
それに今のサクラナは両親がいなくなったことでそこそこ機嫌が悪かった。
それでも、
「……お好きにどうぞ」
両親の顔に『無愛想な娘がいる』などと言う泥を塗るつもりは無かった。
「それじゃあ、行こっか」
アムを先頭に進んで行く楽しそうな子供達の少し後ろをサクラナは歩く。
泥を塗るつもりはないが、馴れ合うつもりも無かった。
森の前の小高い丘の上でサクラナは、村の外に歩いて行く白いマントを羽織った集団を見つけた。 その中にはサクラナの両親が混ざっている。
「……ママ、パパ」
少し寂しい気持ちで両親を見つめる。
建物の影に隠れて姿が見えなくなるとようやく森の中へと入っていった。




