サクラナメモリー
クロエ達が産まれるよりずっとずっと昔——五百年と少し前、一人の女の子が産まれた。
名を『サクラナ』と言う。
◇◆◇◆◇◆◇
十歳になったサクラナは病弱な母親と違い、身体の丈夫な子供だった。
しかし、他の子供達と違って家の外にでて遊ぶことは滅多に無く、仕事にでかける父親の代わりに母親と共に過ごしていた。
裁縫をしていたサクラナの母親は窓の外に駆け回る子供達の姿を見た。
今日は病院の仕事が休みだった父親も一緒だ。
「サクラナはお外で遊ばないの?」
「今日も天気が良いから、散歩くらいしたらどうだ?」
母親の横で一緒に裁縫をしていたサクラナは両親にそう言われるも、すぐに首を横にふって拒否をした。
「ママとパパと一緒にいる」
娘の答えに両親は苦笑いをするしかなかった。
「それじゃあ、パパと回復魔法の練習でもしようか?」
「するー!」
「バカッ!」
「痛い……」
元気よく手を挙げたサクラナは母親の拳骨を頭に貰った。
サクラナは頭をさするがそこまでのダメージは無い。
むしろ、殴った本人の手がサクラナの頑丈さにダメージを受けていた。
「回復魔法は怪我人がいないと練習できないでしょう!? また、自分の手を包丁で切りつけるつもりですか!?」
「いやいや、ママさん。 そんなことは絶対させないから。 あくまで感覚だけだよ」
「それなら良いですけど……」
「それじゃあサクラナ、手の平に——」
さっそく練習を父親はドアをノックする音に口を閉じる。
父親がドアを開けるとそこには一人の男が立っていた。
「村長が調整者に集合をかけています」
「了解。 すぐに行く」
男は敬礼をするとすぐに走り去った。
父親と母親はお互いに頷くと身支度を始めた。
サクラナは何が起こっているのかわからなかった。
「どこにいくの?」
「ごめんな、サクラナ。 パパとママはお仕事に行かないといけないんだ。 魔法の練習はまた、今度な」
「……うん」
先ほどまでの元気は何処へやら、サクラナはぺたんと机に突っ伏してしまう。
見かねた母親ひサクラナにある提案をする。
「そうだ、サクラナ。 パパの仕事で使う薬草を森に行って採ってきてくれる?」
「……どれくらい?」
「採れるだけ」
「……わかった。 いっぱい採ってくる」
「よし、良い子だ。 行ってくる」
母親と父親は白いマントを羽織ると村長の家へと向かった。
しばらく、ぼーっとしていたサクラナは裁縫の片付けをする。
そして、薬草を採りに行くため一人、家を後にした。




