アマデウス邸
ゴートさんの本屋? らしき建物を出た後、俺たちはフロースの家に来た。
西街の隅にどっしりと構えていたアマデウス邸はとてもじゃないが、廃れて来ているとは思えない。
門をくぐって敷地に入ると異様な光景が広がっていた。
広い庭の中で木々は幹が折れて倒れている。
所々には掘り返したような土砂の山。
敷地をぐるっと囲む塀にはひび割れや焦げの後があった。
ドラゴンが来て暴れまわりましたと言われれば納得してしまいそうな程、混沌とした庭だった。
「フロース、この庭はなんだ? ドラゴンが暴れたか?」
「あぁ、これね……家では、魔法の練習をするとき庭でやるのよね……そしたらこうなっていったの」
「ご近所さんに迷惑だなぁ」
「それがねぇ、アマデウス家は多重魔法使用が十八番だからさぁ、自分で結界を張って自分の魔法で壊すんだよねぇ。 良くも悪くもご近所さんには迷惑かけてないからいいのよ」
「それなら、いいんじゃね……」
雑談しながら屋敷の前までくると、扉の前に左右に並んだメイドさんたちと若い執事服の人が待っていた。
執事の人は俺たちの前まで来ると完璧な最敬礼をする。
「お帰りなさいませ、ゴート様、フロースお嬢様」
そう言うやいなや、メイドさんたちが揃って最敬礼をして、復唱。
『お帰りなさいませ、ゴート様、フロースお嬢様』
「だだいま、バトラー。 お母様たちはいる?」
「もちろんでございます。 皆様、首を長くしてお嬢様のご帰宅をお待ちしておりました。 して、お嬢様。 そちらはお嬢様のご学友の方々でありましょうか?」
バトラーさんは俺のことが気になっているようでそんなそぶりを一切見せず、ポーカーフェイスを貫き通している。
「そうよ、相棒のミセリアに、同じ班のクロエ、その相棒のレインちゃんとアティア」
「よろしくね〜」
「どうも、クロエ・ドラグーンです」
「レイン・インペリアルです」
「アミキティアです、よろしくお願いします」
「私はアマデウス家の執事を務めております、バトラーと申します」
軽く挨拶を交わす。
「バトラー、オレは先に婆さんのところに行くからな」
「かしこまりました。 それではお嬢様とご学友の方々は私が、ツバキ様とアスター様の元にご案内致しましょう」
「そうね、先にお母様とお父様に報告に行きましょう。 行くわよ」
「あぁ……くくっ」
「何よ、面白いものでもあった?」
「いやね、『フロースお嬢様』って、お前はお嬢様って柄じゃないだろ」
「うっさい!」
ほら、殴られた。
こう言うところがお嬢様じゃないっての。




