王都へ
〔——行ってよろしい。 二学期の始まりまでには戻りなさい〕
意識の中で管理人からの外出許可と注意を受けた。
待ちに待ってようやく帰ることができる。
「それじゃあ、行くか」
アティアとミセリアが翼を大きく動かしぐんぐん高度を上げて行く。
「フロースの家ってどこにあるんだ?」
隣を飛ぶミセリアの背のフロースに問う。
「一応、王都にあるわよ」
「一応ってなんだ、一応って」
「前にも言ったけど、今の家には昔ほど力が無いの。 王都と言っても端の方にギリギリ建ってるだけよ。 私が竜騎士学校に来たのも家を立て直すためだから」
「恐ろしい世の中だな」
と、言ったものの王都行ったこと無いんだけどね。
話でしか聞いたこと無い。
王都はそのまんまあの気弱そうな王様が住んでる場所で、国の中心地。 賑やかで、楽しいとかなんとか。
あと、でっかい。
ちなみに我が家は王都からかなり離れた丘の上にある。 どっちかと言うとカエルム竜騎士学校の方が近い場所だ。
さらにぶっちゃけると本家は別の所にあったりする。 母さん達が居るのも勿論、本家の方だ。
「じゃあ、王都にあるフロースの家に行ってから、俺の家だな」
「それなら、しっかりついて来てね。 ちょっと遠いから」
「頑張れアティア」
〔無責任すぎですよ。 まぁ、姫様のために頑張りますけど〕
「王都より、クロエのお家に早く行きたいな〜」
「レインちゃん、王都も良い所よ。 食べ物は美味しいし、面白い建物もあるの。 有名な竜騎士だってたくさんいるし」
「竜帝様の方が有名だよ〜。 アティアお姉ちゃんの作る料理は美味しいよ? 建物だってカエルム竜騎士学校も十分、面白い形してるから」
「……そうね。 私が間違ってたわ」
哀れ、フロース。 まさかレインがここまで言うとは。
◇◆◇◆◇◆◇
はいっと、二時間かけてゆっくり飛んで着きました王都に。
これでもかと家が並んでいる中に、時折煌びやかな建物が混じっている。 巨大な館だったり塔だったり。
一番奥には大きな城が山を背に建っている。
空から見ると、何と無くドラゴンの顔に見えなくも無い形をしている。
道には大通りから小道まで人に溢れていた。
露天で話をしている人、沢山の木箱を馬車で運んでいる人に男女のペアから喧嘩をしている人とそれを止めている甲冑姿の人など様々な人がいる。
確かに賑やかそうで楽しそうだが、何と無く空気がどんよりしているように見えた。
「なぁ、フロース。 王都っていつもこんな感じか?」
「そんなはずはないんだけど……なにかあったのかしら? 少し話を聞いてみないと」
やはり、フロースもおかしいと感じたようだ。
どうやら俺の初王都は面倒なことになりそうだ。




