黒竜
しっかり腹ごしらえをしたところで、俺たちは竜舎まで来ていた。
ガロウ校長が言っていた12時からの教竜襲撃を警戒してのことだ。
来るなら現在宿舎を守っている先生の誰かが来るだろうと予測しての結果だった。
胸ポケットから時計を取り出し時間を確認する。
「後、1分だな……」
「本当にここで大丈夫なの?」
フロースに再度確認され、頷く。
「一年から三年までの全ての宿舎から離れていて、見通しもいいここなら大丈夫だろ」
「だどいいけど。 あっ、時間よ」
すぐに辺りを見回してその姿を探す。
「……いないわね」
「そうなんだけど……!」
最後まで言おうとして辺りが暗くなっていることに気づいた。
咄嗟にフロースを脇に抱えて跳んだ。 三頭のドラゴンも同時にその場を離れる。
「えっ! ちょっと……」
フロースが抗議の声を上げる中、さっきまで俺たちがいた場所に黒い塊が落ちた。
衝撃は地を揺らし、砂埃を大量に巻き上げその姿を覆い隠した。
左手にシルバードを構えて塊の姿を見極める。
突然吹いた強烈な風に手で顔を覆う。
風は砂埃を吹き飛ばし、中にいた物の姿を晒した。
格闘戦用に発達した前足に、強烈な風を巻き起こす翼、頭から突き出た双角。 黒い鱗を纏った竜はリガートゥルだった。
……まさかのラスボス戦ですか?
完全にこいつのこと忘れていた。 わざわざ敵の縄張りに入って来たわけだ。
「逃げるぞ!」
鞍に飛び乗るとレインはすぐに飛び立つ。 その後にアティアとミセリアも続く。
リガートゥルはすぐに追いかけて来た。
その速度はかなり速く、徐々になどと悠長なことを言わせずに追いつかれてしまった。
「うおっ!?」
突然のガクッとしたレインの減速に後ろを見た。
なんとリガートゥルはレインの尻尾を掴んでいた。
俺がシルバードを投げ付けようかと思った時、
〔姫様!〕
アティアがリガートゥルに体当たりをした。
その攻撃は避けられるも、リガートゥルはレインの尻尾を離す。 その代わりかアティアの翼を掴み、無防備な首に牙を突き立てた。
「アティア!」
〔アティアお姉ちゃん!〕
〔後はお願いします〕
俺にそれだけ言うと、二頭は下へ落ちていった。
年内に後一話投稿します




