再び招集
「起きなさい、バカ!」
唐突な脳天チョップが俺の目を開けさせる。
「飯か?」
「違うわよ! 代表にもう一度招集がかかったの」
「最初からそう言えよな」
「寝てるのが悪いのよ」
「俺ってば半竜だから竜的に座学は苦手なんだよ。 じっとしてると眠くなって——グヘッ!?」
今再びの脳天チョップ。
そのままフロースに襟を掴まれ引き摺られて行く。
ガリガリと踵が削れていく。
気づけば見覚えのある扉の前に来ていた。
「ほら、しゃんとしなさいよ!」
フロースに叱咤され、服装を正す。 ——あー、乱れまくりだな。 めんどい。
三回ノックをして部屋の中へと入る。
やはりというか毎度のことだが、すでに集まりきっている。
目線を気にせずにレイン達の場所へと移動する。
「クロエ、遅いよぉ〜」
レインがぐでっと背中にもたれてくる。
「ごめんごめん。 間に合ったから許してくれないか?」
「もうっ! 仕方ないなぁ」
ぷくっと頰を膨らませて怒るレイン、可愛い。
「姫様が許しても私が許しません」
こっちには修羅がおったか。 その怒り、天にも届く。
「はい、注目。 みなさん、再度の招集お疲れ様。 今日はクラス対抗戦のルールを一つ追加することになったから集まって貰ったよ」
いつも通り笑顔なガロウ校長が話を始めた。
「えー、日替わりと共に始まる対抗戦ですが、昼の十二時を過ぎると敵役のドラゴンがみなさんを襲い始めます」
そこかしらで不満の声が上がる。 当然だろう。 教師と比べたら生徒の力などたかが知れている。 何より、他の班とドラゴンの挟み撃ちでもくらったらぐうの音もでない。
「それに伴って、一班につき一時間の休息時間を設けます。 リーダーがブレスレットに『セーフタイム』と言えば受理されて、一時間攻撃されないし攻撃もできなくなるわけです。 傷を癒すも良し、作戦を考えるも良し、好きなようにしてください。 なにか質問ありますか?」
割とザックリとした説明からの質問タイム。
一組の代表であるエルフの男子が完璧な挙手をする。
「はい、ルフェインさん」
「私達はお互いの名さえ知りません。 相手に情報を知られないようにするのは確かに必要なことですが、せめて自己紹介はすべきかと」
別にいらなくね? そう思うのは俺だけか?
隣を見ればフロースがどうでもいいとばかりに首を振っていた。
「うーん、それもそうですねぇ。 ただ自己紹介するのもアレですし、チーム名でも決めましょうか。 五分で考えて」
唐突な提案に、全班慌てて話し合いを始める。
「おい、どうするよ。 一人一案だして」
「プリンセスレイン」
アティア案、却下。
「デュアルマジック」
フロース案、かっこいいけど俺は魔法がクソッタレだから却下。
「ジャスティス」
ミセリア案、ダサすぎ却下。
「シャイニングスケール」
レイン案、決定。
ちなみに俺は『ファスタル』にしようとした。 幻の種族の名だ。
「はーい、終わり。 一組から始めてねー」
エルフ四人と人化したドラゴン四人が一歩前にでる。
「私達は『深い森』。 リーダーは私、ライト・フォレストが務めます。 よろしくお願いします」
エルフ達が下がると、他の団体が前にでる。 その中の巨漢の男が口を開く。
「俺たちは二組代表『デストラクション』だ! リーダーは俺、アーク・マスニカル! 熱いバトルをしようぜ!」
見るからに筋肉バカじゃないか。
「三組代表『インドメイタル』。 リーダーはインテ・リネガメ」
割と普通かと思ったら全員メガネとか、笑うだろ。 視力おわってんなぁ。
「四組代表……『マギロニア』……リーダーは私……シーア・マンドライカ……クヒッヒッヒッ……」
全員がフード付きのマントを羽織った明らかに不気味なチームだった。 オール女子なのがさらに拍車をかけている。
「五組の『オルディナ』です。 リーダーはノーマ・ルフェア、自分が務めます。 よろしく」
驚いた。 何もかもが普通だった。男女半々で普通の紹介。他が異質すぎてそうみえるのか?
次は俺たちか。
「俺たちは『シャイニングスケール』。 リーダーは俺、クロエ・ドラグーン。 噂に流されずに戦おう」
挨拶をして、元の位置に戻る。
噂がなにか? 察してくれ。
「どうやら終わったみたいだね。 ついつい寝てしまったよ。 これはうっかり。 とりあえず解散でいいよ〜」
解散と言われて全員少し固まったが、ぞろぞろと部屋を後にした。
ちょっとワクワクしてきたぜ。
開戦まじか




