代表招集
マグニフィカトに連れられてきたのは学び舎にある会議室だった。
扉を開けて中に入ると、五つの人の集まりがあった。 おそらく一組から五組の代表だろう。
彼らの視線が一斉に集まってくる。
俺たちを見て何やら仲間内で話しているが内容までは聞こえない。
「やぁ、クロエ君にその仲間達! 少々遅い気もするけど、仕方ない。 君たちは人気者だからね」
部屋の奥でガロウ校長が俺たちに手を振っていた。
「ちょっとクロエ。 なんで校長と仲良さそうなのよ」
隣にいるフロースが小声で聞いてきた。
「俺にも色々あるんだよ……」
ガロウ校長が手をパンパンと叩き注目を集める。
全員の視線を確認したガロウ校長が話し始める。
「みんな招集お疲れ様。 今日集めたのは他でもないクラス対抗戦の説明だよ」
途端にざわつき始める。
予想はしていたけどやっぱクラス対抗戦のことか。
「はいはーい、静かに。 例年なら六つの班を三組ずつにして勝ち残った者同士が戦うんだけどね、今年は全班が同時に戦うバトルロイヤル制にしたいと思います」
さっきよりもざわつきが大きくなった。
確かにバトルロイヤル制への変更は異例中の異例だ。
過去にこんな変更はなかったはずだ。
——まさか、母さんが一枚噛んでたりして……
「とりあえず最後まで話しを聞いてねー。 バトルロイヤル制にするにあたって皆さんにはこの腕輪をつけてもらいます」
そう言ってガロウ校長が取り出したのは魔石のはめ込まれた白い無骨なデザインの腕輪だった。
「これは装着者に与えられたダメージに応じて破損の進む特殊な腕輪です。 この腕輪が完全に破壊された時点で装着者は負け、強制的に第一闘技場へと転送されるよう魔法をかけてあります。 つまり、他の組の腕輪全てを破壊すれば勝利です。 ここまでで質問はありますか?」
ガロウ校長の問いに一人の男生徒が手を挙げた。
「腕輪のことは理解できましたが、フィールドや時間などはどうするのでしょうか? 六班すべてが同時に戦うとなると闘技場では狭すぎます」
「いい質問です。 今回は時間もフィールドも特別ですよ。 時間は当日の零時から二十四時間の丸一日。 フィールドは学び舎を除いた敷地全てです。 皆さんの宿舎に関してはそれぞれの竜騎士長が責任を持って守るので流れ弾とか気にせず、存分に力を発揮してください。 と、まぁそんな感じなので当日までに——と言っても一週間ですが準備を怠らないように。 それでは解散!」
説明が終わると同時に次々と他の組の奴らが会議室を出て行く。
「俺たちも行こう。 作戦を練らないと」
「それもそうね。 足りない人数を補うだけの作戦をね」
俺はガロウ校長とマグニフィカトをちらと見て、フロース達と部屋を後にする。
◇◆◇◆◇◆◇
「また、竜舎まで戻るのもあれだし図書館にでも行くか? あそこなら広いし静かだし」
「それいいわね。 私、図書館の埃っぽくてじんわりした匂いを嗅ぐと昔を思い出すのよ」
俺の提案にフロースが賛同する。
「私達ドラゴンはあまり本を読まないので図書館には些か興味がありますね」
「本ってさー文字ばっかで眠くなるんだよね〜。 動き回る方が楽しいし」
「ミセリアお姉ちゃん気があうねー。 誰が読むんだろうねー」
……ボロくそ言うな、こいつら。
「お前ら、本読めよ……俺の父さんなんて一日中、本、本、本だぞ?」
「クロエのお父さんって確かドラゴンなんだよね?」
「そうだな。 半竜なんで」
レインの問いに同意する。
「でも、それが誰かは聞いた覚えがありませんね」
「そうだっけ? まぁ、予想くらいつくだろ? 母さんが竜鬼なんだし」
「竜鬼って言うけどさぁー、クロエのお母さんってそんなに怖いのかなぁ? 伝承されてるような恐怖心は感じなかったよ?」
とか、言ってるミセリアさん——間違ってますよー。
怒らせたら鬼ってことよ。
「それは気のせいだ。 母さんは怖い。 以上」
「なんか無理やりね。 そんなことより誰よ、あなたのお父さんって?」
そんなに気になるなら仕方ない。
「竜鬼と言えば竜帝だろ? シルバードですよシルバード」
「リュリュリュ、リュウテイ!? 竜帝!?」×3
「竜帝ってなによ?」
驚くドラゴン三匹をよそにフロースは呆気カランとした返事をする。
——なんも知らないんだな。
そこから説明しないといかんのか……




