蹂躙
〔レイン、行くぞ!〕
〔うん!〕
フロースがコロナから離れたのを確認して、突撃を開始する。
〔てやっ!〕
レインがコロナの横腹に頭突きをくらわせ、その巨体がグラリと揺れる。
それでも倒れなかったコロナはレインと激しい攻防戦を始めた。
「やはり、君は不思議だ。 それほどの力を持つ君がここにいる理由がわからない。 それに、今までその力を隠して最弱の班にいたことも」
「俺にだって色々事情があるんだよ。 別に最弱と呼ばれようが俺は気にしない。 でも、俺のせいでフロース達が損をするのは嫌になった」
「心境の変化があったということかな」
俺の答えにドゥクスはどこか納得したように頷いた。そして、コロナになにやら合図をする。 それに反応したコロナは攻撃を止め、闘技場の中心へと降りていった。
〔どうする、レイン。 相手は地上での戦いをお望みのようだけど〕
レインは少しだけ考えて、
〔うーん、地上ならミセリアお姉ちゃんがいるから大丈夫かな? クロエは乗ってる人の相手をするんでしょ?〕
〔ご名答。 ドゥクスは俺が倒すから、コロナはフロース達と協力して倒してくれ〕
〔わかったよー!〕
レインはそれだけ言うと、すぐにコロナの元へと飛んでいく。
その横にフロースてミセリアがやってくる。
俺はフロースを見て、シルバードを掲げる。
フロースはそれに呼応するように槍の竜装であるラディウスを頭上に上げる。
もはや言葉はいらない。
地面が近づくと、レインの背から飛び降りる。 元々、留め具を締めていたわけではないのですんなり降りれた。——これも、慣れてきたなぁ。
ドゥクスは両手に剣を構えて立っていた。 その後ろにいたコロナは俺を一睨みすると、フロース達の所に走っていく。
「誘いに乗ってくれて嬉しいよ、クロエ君」
「誘いに乗ったんじゃなくて俺達の意思で来たんだ」
「ふふふっ、それでもいいさ。 立ち話も難だし、早速始めようか」
「そうだなっ!」
一息に距離を詰めて、右手のシルバードを振り下ろす。 それは交差させた剣に止められる。
「とんでもない馬鹿力だねぇ。 腕がビリビリするよ」
「それならこういうのはどうだ?」
シルバードを素早く引くと同時に左の竜の腕を振るう。
「う、え?」
刃物相手に素手を使うとは思わなかったのだろう。 咄嗟に刃で受けたドゥクスは、俺の腕を切ることができずに後ろへと後退する。
「なんで、切れない……? その腕はドラゴンの? 君は一体……」
「俺の父さんはとんでもなく強いドラゴンなんだわ。 もう、鱗が硬いのなんの」
「だからって竜装より硬いのは反則でしょ……」
竜装って何でできてるんだろうなぁ? まだ、聞いてなかったや。
「俺の親に常識は通じないから」
「それでも、一矢報いる!」
はぁ……さっさと終わらせないとな。
振るわれた二本の剣を片方をシルバードで、もう片方を左手で受け止める。
「くっ……」
「今までお前は強者だったかもしれないが、今日からは俺が強者だ」
「ゔっ!?」
ドゥクスの腹を竜の右足で蹴り上げる。 ドゥクスの体が少し浮く。 そこに両肩への手刀を喰らわせると、ドゥクスの手から剣が落ちる。
「がっ、ぐぁ、あ……」
右ストレート、左手の裏拳からの回し蹴り、そして顔面パンチでやっと意識を取れた。
ズドン!
大きな音をした方を見れば、案の定コロナがひっくり返って白目を剥いていた。
対竜格闘術やっべぇ!
オオオオォォ!!
レインとミセリアの咆哮が闘技場に響く。




