竜神?
俺が右足の宝石を叩き割り白銀の鱗の足が出た時、闘技場が静まりかえった。
フロース達は戦うことを止め、解説者も審判も開いた口が閉まらない。
そして、全ての人が一様に同じ場所を凝視していた。
——まぁ、俺を見てるんだけど。
好奇心や疑問、恐れの視線ならまだしも形容し難い奇怪な視線まで混ざっている気がする。
騒ぎになる前に終わらせましょうかね。
離れた場所に刺さっているシルバードの所まで一蹴りで移動する。
〔フロース、合図をしたら大きく後退してくれ〕
「腕……足……ドラゴン……クロエ……」
全く聞いてねぇ。 幸いなのは相手の動きも止まっていることだろうか。
〔フロース! 戻ってこい! まだ試合中だ!〕
〔え? あ、うん。 わかったわ! 合図があったら後退ね?〕
〔ああ、聞いてたなら良いけど〕
フロースの確認を取れたし、今度はレインだ。
やはりと言うかこっちも戦いの手が止まっている。
めんどくせぇー。 なんでこうなるかね〜。
素早く空気板を作ると、レインと戦っていたクズイムの元に移動する。
「お、お前! なんだよその身体は!? 化け物め!」
「なんだと、ゴラァ!?」
クズイムがわめいた言葉にイラっときた。
「黙ってろ!」
クズイムの顔面を左腕の裏拳で叩く。
「ブッ!?」
今や竜の力を持った左腕の一撃は、クズイムをボロ雑巾の如く鞍から吹っ飛ばした。
「やっべぇ……」
やりすぎた。
軽く昏睡させるつもりだったのに吹っ飛ぶとは。
まぁ、クズイムだし大丈夫か。
クズイムを助けに行こうとしたドラゴンもついでに殴っておいた。
今度は手加減も成功して、ドラゴンは墜落する。
「よしっ!」
手をパンパンとはらうと空気板からレインの背に移る。
〔りゅ、竜神様!〕
レインが俺の姿にギョッとしている。
〔竜神じゃないから、まだ。 いつも通りにしてくれよ〕
竜王が正式に認めないと竜神になれなかったりするんだなぁ、コレが。 そんな職業的なものに興味は無いけど。
まぁ、その竜王は今や怪物に成り果てているとは、レインにはまだ言えない。
竜王はレインの父親だから……
〔クロエは半分ドラゴンだったの? お母さんは人だからお父さんがドラゴン?〕
そっすね。 竜帝っす。
〔それも含めてこの試合が終わったら全部話すよ。 今は勝つことに集中してくれないか?〕
〔うん! アティアお姉ちゃんの分も頑張るから!〕
そういうことで、
〔フロース! 行くぞ!〕
〔わかったわ!〕




