その炎は真か偽か
コロナの首めがけて横に凪いだシルバードは、寸前で滑り込んだ二本の剣によって止められた。
俺はすぐに離脱しながら剣の出所を見た。
「そういやお前もいたな……ドックスだっけ?」
「ドゥクスだよ、クロエ君。 僕たち相手に名前を間違えるとは随分余裕があるのかな?」
「あるんじゃないっ、か?」
振り下ろされるコロナの爪を回避すると、お返しに顎を蹴り上げる。
人との会話中に攻撃を仕掛けるとは、礼儀がなっとらんな。
その後も一撃離脱を繰り返していると突如、コロナの全身から炎が噴き上がりその身体を包んでいった。
「なんじゃそりゃ? あっついんだけど」
『ガアアアァー!!』
「これからが本番ってか?」
一段と早くなった爪をシルバードで捌き続けるが、時折入るドゥクスの邪魔にペースが乱れる。
ああ! ウザったい!
「概念魔法『焔転』!」
火が消えないならどうすればいい? 答えは簡単。 他の場所に移せばいい。
俺が概念を唱えると、コロナが纏っていた炎がシルバードへと集まる。
以外と熱くないな……俺が半竜だからか?
力を失って驚いたのかコロナは俺に向けて火炎を吐いてくる。
「効かないね」
燃ゆるシルバードを火炎に向けるとそれは炎の一部として取り込まれていった。
「何をしたんだ君は!? 炎王の子の炎は全てを焼き尽くすはず……それを消すなんて!」
よほどビックリしたのかドゥクスは火の玉を飛ばしてきた。 しかも、バレバレだ。
それを軽く躱し、攻撃に移ろうとしたとき、
〔クロエ! 後ろ!〕
フロースに言われて咄嗟に振り向くと二頭のドラゴンが左右から迫っていた。
「こんのっ!」
レインと戦っていた茶のドラゴンを全力の空気板で進路を遮り進めなくしてやる。
反対側からくるクズイムのドラゴンには、頭部に右のストレートからの一回転してのかかと落としをくらわせた。
ぐらりと巨大が揺れて下へと落ちていく。
「これだから貴族の阿保には困るよ。 それにしてもこの奇襲に対応するとは流石だね、クロエ君」
「さっきのは演技かよ。 次は何をするのかねぇ?」
「こういうのはどうかな?」
コロナの体がボヤけてその巨大が五つに増える。
え? は? なんで、増えてんの?
「ふふふふふ、行くよクロエ君!」
五ヶ所から響く声が耳に木霊した。




