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学生竜騎士  作者: 雨後吹雪
一学期
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43/284

竜鬼とアマデウス

「——つまり、偶々近くに来たからクロエの様子を見に来たと?」

「そういうことだよ。 むしろなんだと思ったんだ?」

「てっきり、クロエを消しに来た国の暗殺者かと。 あんたがボロボロになってるのが悪いの!」

 事実なだけに反論できぬ。

「話は終わったか?」

 暇になってきたのか腕を組んだ母さんが声をかけてきた。

 そんな母さんにフロースが頭を下げる。

「先ほどはすいませんでした。 クロエのお母様だとは知らずに攻撃をしてしまい」

「気にするな。 アマデウスのはこれくらい活気がある方が良いからな。 まるで、昔のローザを見ているようだった」

 おっ、知らない名前が出てきた。

「ローザって誰?」

「現アマデウス家当主、ローザ・アマデウス。 そこのフロースの祖母だな」

「おばさんを知ってるんですか!? あの人、ほとんど家から出ないから知り合いなんていないと思ってた……」

 フロースが想像以上に驚いている。

 ていうか、当主なのに家から出ないってかなり問題じゃないか?

「なんだ、最近噂を聞かないと思ったら引きこもってたのか。 あいつも歳だし足でも悪くなったか?」

「いいえ、ピンピンしてますよ。 なんでも、新しい実験で忙しいとか」

「ほぅ、それは気になるな。 一度奴の所にも行くべきか。 新しい情報も入っていると良いが……」

「……情報って、昨日の話?」

 フロースに聞こえないように声を小さくして話しかける。

「そうだな。 ティタンにいる手下が行方不明な今は、ローザの情報網を頼るしかない」

「前から気になってたんだけど、母さんの手下ってどれくらいいるの?」

 俺の問いに母さんは待ってましたと言わんばかりにニヤリとする。

「正確な数は私も知らん。 だけど、国のトップとかに近いのはほとんどそうだな。 ガロウもその一人だぞ?」

「げっ!? 校長まで母さんの手下かよ……もしかして、学校でのことは全部筒抜け?」

「さぁ、どうかな?」

 絶対そうだ! 成績が悪いことも授業を逃げたのもバレてらぁ。

「そうそう、昨日いた国王も私の手下だな。 私が国王に推薦してやったと言うのにクロちゃんに手をだすなんてぇ、どぉなっても知らないよぉ〜?」

 そう言いながらも抱きついてくるもんで、怒っているのかわかったもんじゃない。

「ねぇ、さっきから二人で何を話しているの?」

 唐突なフロースの声に二人でビクッとする。

「え、いや、その……」

 母さんの顔には『絶対に話すなよ』と書いてあるように見える。

「母さんにフロースの実力を見てもらおうと思ってたんだ!」

「え? そうなの? せっかくだしお願いしようかな」

 危っぶねー!

 変なことを知られるところだった。

「時間もないし早速見よっか。 フロースちゃん、手見せて」

「手?」

「手を見ればその人がどれくらいかはわかるから」

 母さんにそんな特技があったとは知らなんだわ。

「えっと、お願いします」

 フロースがおずおずと両手を母さんに見せる。

「うーん、アマデウスのの割には良く筋肉が付いてるねぇ。 多重魔法使用(デュアル)は詠唱中に無防備になるのが欠点だからねぇ。 フロースちゃんは竜騎士だから相棒《パートナー》に守って貰えるし、自分でも武器が使えるようなら強くなれるよぉ」

「ほ、本当ですか! 私、アマデウスの名に恥じない立派な竜騎士になります!」

「うんうん、元気な子はサクラナちゃん大好きです! 一番はクロちゃんだけどね。 浮気はしません!」

「あはは、よかったなフロース。 その調子なら明日も勝てるさ」

 よほど勝てないことに落胆していたのかフロースはむっちゃ喜んでいた。

「そうだ、二人のドラゴン達も読んでくれないか? 時間も無いし、一応見ておきたいからな」

「そういうことことなら」

 俺は竜舎に向かって意識を伸ばしていった。







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