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学生竜騎士  作者: 雨後吹雪
一学期
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31/284

初勝利

〔体制を立て直される前に行くぞ!〕

〔うん! じゃあ、あの黄色のドラゴンね!〕

 俺とレインは呆然としている六班に再び攻撃をしかけた。

 しかしその攻撃は、竜騎士よりも早く正気に戻ったドラゴンによりかわされる。

 ぎこちない動きでかわしたそのドラゴンは次の瞬間にはレインの頭突きをくらい、よろめいた。

 そこに地上にいるフロースから放たれた氷塊が頭部に当たり落ちていった。

 〔ナイス、コンビネーション〕

 意識で二人に拍手する。

 〔私たちもそろそろ飛んでいい?〕

 〔いいぞ。 アティアもこっちに来てくれ〕

 〔わかりました〕

 二人に返事を返すと、ミセリアに乗ったフロースが隣まで飛んできた。

 それに続いて上空に漂っていた霧が晴れてアティアが降りてくる。

 これで三対二だ。

 〔よし、脳筋は放置でもう一人を狩るぞ!〕

 〔〔〔〔おー!!〕〕〕〕

 レイン、アティア、ミセリアの三人で残っていたドラゴンを囲み、じわじわと追い詰めていく。

 度重なる攻撃のせいで既に相手は満身創痍だった。

 〔よーしっ、もーらいっ!〕

 ミセリアがそう言いながら止めを刺そうとした時、

「うおおおおおぉー!」

 叫びながら脳筋とドラゴンが突っ込んできた。

 とっさにミセリアは回避する。

 あの脳筋やっと立ち直ったか。

「……よくも! よくもやってくれたな!」

 ご立腹だわ。

 うるせぇ奴だわ。

 仕方ねぇ。

 〔あいつは俺とレインでやるから、そっちは任せた〕

 〔わかったわ〕

 〔はいはーい!〕

 〔姫様に無茶させたら殴ります〕

 三者三様な返事が返ってきたので、脳筋と向かい合う。

「お前さっきからうるさいぞ」

 俺の言葉に脳筋が顔を真っ赤にして怒鳴る。

「俺は負けられないんだ! 負けたら親父に殺される! 俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ!」

 どんな家庭だよ!

 スパルタの限度を軽く超えてんぞ。

 そんな言葉を飲み込みシルバードを構える。

 脳筋の乗ったオレンジのドラゴンが突っ込んでくる。

 レインはそれを上に回避すると、ドラゴンの肩に捕まる。

 ジタバタと抜けようとしているが、こうなっては離れることはできない。

 レインはそのまま力を加えていき地面に叩きつける。

 ザザザーと地面を滑ったそのドラゴンは動かなくなる。

 しかし、その背に乗っていた脳筋はまだ動いていた。

 ——頑丈な体してんな。

 他の奴はアレで気絶したんだけどなぁ。

 脳筋はズンズンとこちらに歩いてくる。

「降りてこい! 俺と一騎打ちだ!」

 う、ウゼェー。

 ちらと上を見るとフロース達は既に相手を倒していた。

 はぁー、仕方がない。

 〔ちょっと行ってくる〕

 レインにそう告げると俺はその背から飛び降りた。

 脳筋は両手で剣を構えていた。

「いくぞっ!」

 掛け声とともに脳筋が距離を詰めてくる。

 フロースよりは遅いかな。

 左手にシルバードを持つと、攻撃に備える。

「はぁっ!」

 脳筋は上段に構えた剣を頭めがけて振り下ろしてきた。

 闘技場の魔法で死にはしないが、アレを食らったら骨は折れるだろうな。

 まあ、くらわんがな。

 振り下ろされる刃をシルバードで受け流すと俺は、全力で右の拳を脳筋の腹に打ち込んだ。

「ぐ、が……」

 脳筋は拳の衝撃に耐え切れず吹っ飛び、地面を二、三回跳ねると気絶した。

 ふぅ、久々に全力だしたわ。

 俺がそう思っていると、観客席から拍手とかが聞こえてきた。

 俺はフロースの元に行くと、顔の辺りに手を上げる。

 意図を察したフロースが手を叩いた。


 この日、八班は初めて勝利を手にした。



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