コロナとドゥクス
結局日没まで特訓が長引いてしまった。
宿舎の前でユリアさんが仁王立ちしていたけど、マグニフィカトの力でなかったことにしてもらえた。
持つべきものは良い師ですな。
レイン達ドラゴン三人組と分かれて中に入ると、ちょうど夕食の時間だった。
俺とフロースが食堂に入ると全員の視線がこちらに向き、静けさに飲み込まれた。 約一名はなおも食べ続けているが。
奴らの眼には侮蔑の色が見える。
そりゃそうだ。 ただでさえ成績が悪いのに時間に遅れるとか悪評しか広まらん。
それも一瞬で、すぐに賑やかな雰囲気に戻った。
俺たちは隅にある八班のテーブルに行くと席に着いた。
えー、今日の夕食は……肉ですね。 豚肉だけども。
因みに昼食も肉だった。 鶏肉じゃった。
朝食も肉だった。 魚肉であったが。
「もう肉嫌なんだけど」
向かいに座っているフロースに愚痴をこぼす。
「私は別に肉好きだから」
そこは女子なんだから遠慮しとけよ。 肉食怪獣か?
仕方がないので肉を口に運ぶ。
もはや味を感じない。
肉は放置してパンを食べることにした。
残すなって? 六組にはあいつがいるんだぜ? 食欲竜がな。
あいつがいれば六組に残飯はあり得ないのだ。
「そういや、代表決定戦のルールってなんだ?」
パンに肉を挟んでいたフロースに聞いてみる。
「トーナメント形式だそうよ。 ルールはいつもどおり。 危険な行為以外は許されるの。 道具の持ち込みも可能よ。 毒とか危ないのは禁止だけど」
「ようは三回勝てばクラス代表になれるってことか。 それまでにクズイモと当たるといいんだが」
「決勝まで残れば戦えるわよ。 一班にはコロナとドゥクスの『司令』コンビがいるから」
フロースの言葉に俺は頷く。
因みにドゥクスが騎士で、コロナがドラゴンな。
『司令』と呼ばれるだけあって、頭が良くて腕も立つ。
実際六組で一番成績が良いし。
コロナはそこそこな貴族の出のようだが、コロナは『炎王』の息子だとか。
炎王はアレだ。 昔、炎の魔法を乱用しまくって暴れたドラゴンだ。
竜帝と炎王だと炎王が強いように感じるが、竜帝の方が圧倒的だ。
最近まで炎王が大人しくしているのは竜帝を恐れてのことだ。
竜帝が行方不明になった最近はまた調子に乗り出したようだが。
「とにかくまずは一勝だな。 今の俺たちなら楽勝さ!」
「そうね。 でも、油断は禁物だからね?」
「おうよ! 今日はもう特訓できないからちゃっちゃと寝て明日に備えようぜ。 あとノート貸してくれ。 逃走してたから書いてないんだわ」
手を合わせて頼み込む。
フロースはしばらく考えると、
「イヤ」
「なんですとぉ!」
「ウソウソ。 貸してあげるわよ」
てへっ
とかやられてもむしろイラつくんだが。
まぁ、貸してくれるならそれでいいか。
食事に戻ろうと皿に目を落とすと、パンが無くなっていた。
フロースの口はリスのように膨らんでいる。
「対価よ」
あっコラ。 口に物を入れながら喋るんじゃない。
てか、自粛しろよ。
せっかくの美人が台無しになるやろ。
次は代表決定戦の一回戦目です
ガンバル




