マグニフィカトとフロース
〔最初はフロースからだ。 こっちに来い〕
「よろしくね、おじさん」
〔黙らんか〕
マグニフィカトに呼ばれたフロースが棘のある返事をしながら闘技場の隅に行ってしまった。
フロースの特訓が終わるまで素振りでもしようかな。
暇なので。
もう一度言おう。
暇なので。
だって、マグニフィカト何も言わないもん!
あれしとけ〜これやってろ〜とか無いんだもん!
あー、早く終われ〜。
◇◆◇◆◇◆◇
どうやら最初は私のようだ。
マグニフィカトは私に魔力操作の極意を教えると言っていたけど、いったい何をするんだろう?
クロエたちからだいぶ離れた場所まで来るとマグニフィカトが止まった。
〔ここらでいいだろう。 お前は魔法を同時に使うのが得意だったな?〕
「そうね。 幼い頃から母に教えられたの」
母の家系は代々魔法の同時しようを専門としてきた魔法使いの一族だったの。
今でもそこそこ有名な一族なんだけど、竜騎士のせいで仕事が減って苦労してるんだよね。
だから私の代から竜騎士学校に通うことになった感じ。
今までは頑固なおばさんのヘンなプライドのせいで竜騎士を認めて無かったんだ。
ちなみに、竜騎士学校に通うべきだと言い出したのが私の父なんだ。
父は武術が凄いわけじゃないけど、頭はものすごく良かったの。
誰よりも早く一族の破滅を予想したんだとか。
〔好き魔法を一つ、限界まで維持してみろ〕
「ん、わかった」
好きな魔法ね。
普通に火の玉でも作ろうかな。
私は右手に魔力を集中させると、30センチ程度の火の玉を作り出す。
普段ならこのまま火の玉を飛ばすから魔力の消費もそれまでだけど、維持となると常に魔力が減っていく。
三十分ほどして魔力が底をついてきたので火の玉を消すことにした。
魔力が少ないせいか息が切れてきた。
「はぁ……はぁ……終わったわ」
側で寝そべっていたマグニフィカトに声をかける。
〔予想より少し早いがまぁ良い。 お前は竜騎士がドラゴンから魔力を貰うことができるのは知っているな?〕
「もちろん。 そうしないと私はすぐに魔力切れになるから。 魔法が使えなくなったら足手まといになるし」
竜騎士なら誰でも知ってることだね。
人間と違ってドラゴンの魔力は膨大だから色々な使い方があるの。
クロエとかは例外だけどね。
まさに宝の持ち腐れ。
〔実はその力——ここでは竜騎士の能力だとして——は思わぬ使い道があるのだ。 わかるか?〕
「えっと……んー……わかんないかな?」
〔ここだけの話、魔力を貰えるのはドラゴンからだけではないのだ。 魔力持つものならどんなものからでも貰うことができる〕
「それもそっか。 言われてみれば、ドラゴンからしか貰えないなんて不自然だしね」
私は素直に驚いた。
こんな裏技があるとは、思わなかったよ。
〔しかし、この力は相手の意識が己の意識を受け入れるか、力で圧倒しなければ使えない。 そのことを覚えておけ〕
「ん、わかったわ。 ということは、クロエから魔力を貰うこともできたりするの?」
クロエから魔力を貰えれば戦闘中ずっと魔法が使えたりして。
〔できるだろうな。 あいつの魔力量ならある程度奪っても問題なかろう〕
「よし、やってみよっか!」
目を閉じてクロエの意識に話しかける。
〔クロエ!〕
〔んぁ? なんだフロース?〕
すぐにこっちを向きながら返事が返ってきた。
さっそく魔力を貰いましょっか。
〔クロエ、ゴメンね〕
〔え? どういう……って、なんか力が抜けてるんだけど……〕
うわぁ、どんどん魔力が回復していく。
それでもクロエの魔力はそんなに減ってないみたいだね。
ほんと無尽蔵みたいだね、クロエは。
これで私も戦える。
絶対優勝してやるんだから!
サブタイ長い
次はミセリアとアミキティア編です




