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穿つ為に




 

 しばらくの間、文哉が魔王の腕を斬り弾く音だけが響く。

 

「ん?」


 しかしある時から魔王の攻撃方法に変化があった。


「これは・・・まずいか?」


 冷や汗を流しながらも魔王の新たな攻撃を誠司は受け止める。


<矛盾再設定 右盾12 左盾12 補助5>


 両方を盾に変え、余力を新たに振れるようになった仮面の方に振り分ける。

 さらに最適化された動きが出来るようになった為、魔王の口から吐きだされる何かも余裕で対処できるようになる。


「まずいと思ったけど、そうでもなかったな、あいつ正面にいるし」


 これが移動しながらの攻撃なら確かに脅威になったかもしれないが、今はお互い足を止めて殴り合いをしているような状態だ。両方を盾にしたことで腕に攻撃は出来なくなったが、口から出すものにも生命力を消費するのか、腕を斬りつけると同じくらい輝きが失われているように感じる文哉だった。








 魔王の攻撃が変わっても誠司はひたすら考えていた。防御は文哉が何とかする。自分はこの状況の打開策を考える、閃くことに専念するべきだと。文哉を今イチ信じきれない絵美と優子だったが、誠司は文哉に絶対の信頼を置いているのだ。

 

―俺も・・・絵美も優子も攻撃に参加は出来ない、防御を変わることも出来ない。絵美は指揮指令・・・これは魔王には効果がないのは検証済みだ、優子は・・・もっと駄目だな。となると僕の能力だが。

 匂香臭と認識自在・・・この二つでどうにかするしかない。それはわかっているが、今更魔王に仲良くなろう?といって効くわけもない。




 ・・・まてよ?












「(まずいな、相手の攻撃力が上がってきているか?)」


 呟くように始めて文哉は不安をもらす。防げる・・・防げるには防げるが、魔王の腕の速度があがっているように思える。

 実際魔王も文哉の動きを観察した結果。彼の隙をつくように攻撃をするようになってきていた。今はまだ文哉の能力で防げているが、いずれ体力が切れるよりも先に詰め将棋のように手が間に合わなくなる。そんな予感が文哉はしていた。仮面による未来予測でも、提示される防御方法が難しいものに切り替わってきている。

 これがレベル4になって、修行した後でなら文哉も問題なく防げていただろう、いや、むしろ魔王を屠るのは難しくなかったに違いない。

 力量でいえば文哉は深海の魔王を越えていた。元々この魔王は単一で力を発揮するタイプではない、時間が経てば経つほど群れを作り軍を形成し、物量による攻撃で国を大陸を蹂躙する魔王なのだ。


―誠司が今ならまだ倒せるというから、来たが・・・俺がレベル4にならなかったらとっくに全滅しているな俺達・・・ん?


 刹那の間だったが、魔王の動きが止まった。訝しがる文哉だが、仮面による情報収集でも魔王の誘いでない事もわかる。








 状況が動き出す。




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