#31 人生は自分が主人公でそれぞれドラマがある
だんだんと体が戦闘に慣れていくのを感じる。そう、この戦いにも適応していっているのだ。
と心の中でカッコつけ厨二心を燃やしているや否や敵の剣は俺の胸と目と鼻の先にあった。
あ、やっべ!
剣は俺の胸へ……
「キーン!」
甲高い音が鳴り響き、剣が弾かれるのを見届ける。
剣はジンの胸には届かずチェストガードに憚られる。
さすがあの店で一番高価なチェストガードだっただけある。
そこらの剣じゃ一発で貫くことは愚か傷すらつけられない。
ゾンビ兵は力の乗った攻撃が跳ね返され、その反動に指が耐えられず剣を放してしまう。
そしてジンはその一瞬の隙を見逃さず剣を振り抜く。
ゾンビ兵は反撃の意思を見せず、手を上に上げた。まるで潔く殺してくれと言っているようだった。
そして剣と首が触れるスレスレの位置に差し掛かった頃。
ゾンビ兵、いやただの一兵士は死に際ニコッと微笑んだ。そして
「ありがとう」
と呟いた。
その剣はゾンビの頭と体を切り離し、ゾンビ兵は断末魔を上げ、首から血飛沫が飛び出し、血の雨が降り注ぐ。
ジンはそれをボォーと眺めて、不思議な感覚に見舞われていた。
身体の心臓の音、呼吸音、体温を感じる。
あの一瞬のその出来事で命は途絶え、戦況を一変させた。
改めて命の重さを知る。
俺が今まで無心で殺して来たのは、いつかにゾンビ化した人間だったという事実。
「ことっ」という音がなり、ゾンビ兵の足元にペンダントが落ちた。
それに気づいたジンはペンダントを拾い上げた。
典型的だなと思いながら、錆びついたペンダントを開ける。
その中には2枚の写真があり、一つは小さな子供の写真、一つは俺と同い年くらいの女性の写真があった。
……家族持ちか。それもまだ若い。
どこか申し訳なさを感じる……。
それにしても最後、ゾンビ兵はありがとうと呟いたいたような気がする。
あの感じはたった一瞬だが人間に戻っていたような気がする。
もしかしたらゾンビが人間に戻れるようになる未来もそう遠くないのかもしれない。
その時には日が入り始めていた。
ゾンビは森へ潜って行き再び平和が訪れたのだった。
◆◆◆◆
ミミィ、ミリエル、アカネをチュウサから支給された宿において行き。
ゾンビ兵、ジェイズさん宅に訪れることにした。
ジェイズさんの家は他の兵士に聞き込みをしてバッチリ把握した。
そして少しだが、ジェイズさんについても教えてもらった。
彼はこの街が出身で小さな頃から勇敢でいつも勇者を夢見ていたそうだ。
そして念願の兵士となることができたそう。
ジェイズはかなり上層部からも期待の声が出ていて、期待のルーキーだったらしい。
そして16歳で小さい頃からの幼馴染と結婚し、17の時に子供が生まれたそうだ……。
そう思っているうちに言われた家についた。
そしてペンダントを握りしめた拳で戸を叩いた。
カーテン閉めて。




