#32 アマチュア
「ほら、見たか!」
「また適応したのか! ゾンビウイルスに!」
「よくわからないけどそうみたい」
恐るべし適応能力。ゾンビウイルスまでもを適応させてしまった。
しかし、俺は助かったものの他の人は俺のように助かる訳じゃない。なのにあんなにも無謀に戦って良いのだろうか。
そしてこの事実は皆知っていることのだろうか。
「ギャァああ」
そう思ったのも束の間、悲鳴が聞こえてくる。
ヤバいと思いその悲鳴の先にすぐに向かう。
しかし時すでに遅し、ある兵士は顔色を変えて、人間らしからぬ雰囲気を漂わせている。
つまりこの兵士は間に合わず、ゾンビウイルスが体に回ってしまいゾンビ化してしまてのだ。
もしかしたら自分もこうなっていたのかもしれないと思うとゾッとする。
そしてこの兵士は誰だか知らないが、可哀想に……。
特にこの国に縁があるわけではないがやはり人間の死というものは、心にくる。
「一旦、皆んな下がれ!」
ジンは大声を出し、人々に訴えた。そして皆下がっていく。
すると兵士のゾンビは懐に刺さった剣を抜き出した。
「一騎打ちってことか……」
苦手だ。
今までなん人も相手にしてきたから隠されてこられたが、剣の技能の試される一対一すなわち一騎打ちにおいて、剣術経験の皆無なジンにとって一騎打ちが苦手なのは当然のことであった。
ジンも不格好ながら剣を構える。
「ふぅー」
ジンは深くため息を吐く。
そして風が吹く。
風が止まった。
その時二人は向かいで走り出す。
ゾンビ兵士が剣を振り下ろし、その後少し遅れてジンが剣を受ける。
しばらくその位置で静止する、そして二人は反動で距離が離れる。
「キチィ」
ゼェゼェと激しく呼吸をするジンからそんな言葉が漏れる。
一般兵であっても今まで鍛えてきた年数も違うし戦闘経験も比ではない。
そして完璧とはいえないがしっかり、剣の型があるように見える。いくら意思のないゾンビであっても体に染みついた癖は抜けていないようだ。
そして容赦なくゾンビ兵は剣を振り抜いてくる。
ジンもギリギリながらそれを抑える。
これはきっとこの聖剣でなければ間に合わずに斬られているのだろう。
そして戦いはにわかが見てもどちらが優勢か一目瞭然。常にゾンビ兵が攻め、ジンがそれを受ける。
長い時間が経ち、それまで自慢の粘りでなんとかなっていたジンだが疲労が見えてくる。一方ゾンビ兵は終始変わらない。
誰もがヤバいと思っていた。しかし。
「……ああキタキタこの感覚。俺はまだまだいける」
ジンは身体中を汗で垂れ流しながら、ニヤッと笑った。
風呂があったかい




