#17 適応能力の鬼
意図せず身体が横に流れる。
そして、当たるはずだった光線を避けた。
また新たな光線が俺に放たれる、だが俺の体は軽い動作でそれをかわした。
一本、二本とまた次々に光線が飛んでくる、心の中では絶対に当たると確信している、しかし身体はそれを当たろうとしないのだ。
俺の意思とは関係なく、まるで何万回と練習を重ね、流れ作業のようにシュートを決めるスポーツ選手のように、もっとも軽い動きで、もっとも効率的に避ける、というような状態がここで起こっている。
そうだ、身体がこの攻撃に慣れてきているような感覚だ。
ああ、なんて余裕なんだ。
ミリエルの隙がだんだん見えてくる。
没頭、というのか。
俺は俺の体に身を任せて、走り出す。身体が自動的に動くので、なんとも不自然な走り方だろうか。しかし、それでも当たらないのだ。
そしてついに、ミリエルの目の前に辿り着く。
打撃の魔法なんてものは必要ない、ただ拳に魔力を流し込むだけ……。
拳に魔力を溜め込み一気に放つ、属性的なダメージはないが打撃としてのダメージは十分だろう。
そして拳を振るった……。
いや振るわなかった。
ミリエルの背後には隠し球のもう一つの光線が見える。カウンター用の攻撃だろう。
俺は殴るフェイントを入れた。
そのフェイクにまんまと引っ掛かった、ミリエルは隠し球を俺に放った、予期していたので、すっと避ける。
そして、渾身の一撃を無傷なミリエルに放つ。
ミリエルはそれを素でうけ、4、5メートル飛ばされた。
なんとか腕で防御をしたミリエルの腕は真っ赤になっている。
「くっくっくっ。勇者、固有スキルの力か?」
「……?」
「あまりピンとこないようじゃな、まさか発現は初めてなのか?」
「固有スキルは知っているが、俺にそんな力なんて……」
するとミリエルは先程のように紫の瞳をぎろぎろさせ、俺を興味本位でのぞいた。
「確かに発現しとる、固有スキルが!」
「まじか!」
ミリエルはさらに俺の身体をジロジロと見つめる。
「固有スキル……《適応》。なんとも言えぬ決して強そうではないな」
「なんか、カッコ悪りぃ」
しかし、俺にも固有スキルが……!!!
確かに、男の子が夢見るような異世界無双系主人公のような能力ではないが、そんなのは名義上なだけ。まだ能力が何かは完全にわかったわけではない……まあ、なんとなく名前で察するが……。
そうと分かればやる気が漲る。
「さて、第二ラウンドと行くのだろう!」
活気に溢れた俺の声、それに応答するミリエルの声。
「おう!」
やっぱり俺はこんな感じでポジティブシンキングでなければ!
何事にも前向きで考えられる人




