#18 悪魔との契約
「《空槍》! 《空槍》! 《空槍》! 《空槍》!」
得意の魔法をミリエルに連発する。
案外、ミリエルに効いているようだ。
《適応》はなんなのか? 意味はそのまま適応するという意味だろう。
だから俺はこの光線に適応し、慣れてしまった。そのため今の俺の前では光線も黒い何かでしかないということ!
魔力は今たっぷりある、日々の積み重ね、ジャイアントモッグ討伐、数えれば山ほどある、アブゾーブによって貯めてきた魔力は、今や底なしと言えるほど到達した。
俺は限界を恐れず、ただミリエルに向けて何発も何発も《空槍》を放つ。
「おそ……ろ……し……魔力量……」
「えっ? なんつった?」
連発に連発を重ね、ミリエルに話す時間すら与えない。
「攻撃を止めるのだ!!!!」
ミリエルが突然叫び出す。
そんなこと言われて止める奴なんて、重度のロリコンくらいだろ……。
……撃てない。もしや俺は気づかないうちにロリコンに⁈
と、一瞬思ったが、これはミリエルの固有スキルなのだろう。
《我儘》によって、俺はミリエルに攻撃できなくなったのだろう。
「き、汚いぞ! 固有スキルは反則だ!」
「ヌシも使っておるだろうが!」
「そういや、そうか」
「さて、ヌシは今ワシに攻撃ができない。まあ、時間が経てばできるのだが……!」
慌てて口を抑えるミリエル。
良いことを聞いた。
「まあ、知ったところで解けるのは数時間後なのだがな、わぁはっはっはぁ!」
「さて、ゆっくりと魔法の準備をするとしよう」
「くそ!」
逃げれるところもないのに、とりあえず逃げ回っとく。
「逃げても無駄じゃよ」
「そんなのわかってらあ!」
ミリエルの掌から先程のような魔法陣が何個も見え出す。
あの構えはミリエルの最強魔法のなんとかショックか⁈
「はぁ! 《デーモンショック》‼︎」
はやく戻れ身体、戻れ!
「《アブゾーブ》!!」
なぜこれを選んだのかという理由はないが、とりあえず放ってみた。
迫ってくるあれに、アブゾーブを放つ。
うわ、終わった。まじで、終わった。
えっ、なにこれ! なんで? えっ? なんか吸い込まれるんだけど。
なんか、なんとかショック、吸い込んじゃってるんだけど。まじかアブゾーブ、まじか? こんなに可能性あるのかよ!
やっべ、アブゾーブ、やっべェ!
「えっ! なんでなんじゃ? なんで魔法が撃てるのじゃ?」
「いや、わかんね、なんか撃てた!」
「固有スキルの力か! 固有スキルか!」
よっしゃ、なんかわかんねーけど、まだやれる。
「いくぞ!! ってあれ……?」
バサッ!
身体の力が抜け、床に倒れる。
なんで? どうして? まだやれる。 まだやれるのに。
呼吸が荒く、体が重くなるのを感じる。
心はまだ元気でも、体はもうとうに限界を超えていたようだ。
なんで、終にたくない! やっとやっとなのに。
よく見ると隣にはミミィが横たわっている。
「……ミミィ。生きてるか?」
「……うん……なんとか」
「それはよかった。でもごめんな? 実力が足りなかった」
「いいよ、頑張っていたのだから」
「そうか、まあ、楽しめてはいたよ」
そこにミリエルがトコトコ歩いてくる。
「ヌシらなかなかやるな、ここ数百年の中では1番強かったじゃよ」
「そうか、ありがとな」
まぁ、どうせこのバカ悪魔のことだ。数百年なんてここ数ヶ月の記憶みたいなものだろうが。
「……殺すなら殺せよ」
「表情と言葉が合っていないのだが」
「ワシはヌシらを殺さん」
「じゃあなんだよ?」
「ヌシらの旅について行かせてくれ」
「えっ、なんて?」
「だから旅について行かせてくれ」
「いや、なんでだよ?」
「ずいぶんと楽しめたからな」
「魔王軍幹部とかは? 俺は魔王討伐を本気で考えているのだが」
「大丈夫じゃよ、理由はないが」
「でも、信用ならない、さっきまで殺し合いしていた相手だぞ?」
「……なら、なら、契約はどうだ、悪魔の契約は絶対なのだ。……そうだな、内容については、ヌシらに危害を加えない代わりに、ワシを冒険に連れて行くでどうじゃ」
「まあ、それなら……」
「ダメっ!」
突然ミミィが会話に割り込む。
「獣人に危害を加えないにして」
ミミィもやっぱり怖いのだろう。
「仕方あるまい、それも良しとしよう。……決まりじゃ!」
ミリエルは俺の血をチョンと触る。
「ちょ、まだいいって言ってない……」
「契約完了じゃ!」
外さみぃ!




