はじまり
「ん、どうした神前?」
国立が神前さんに話しかける。
「あんたには用はないわ。国立君。それよりも國木君。」
俺の方を見て神前さんは申し訳なさそうに話し出した。
「ん?俺?何?」
少しわざとらしい口調で俺は反応する。俺は実はなんとなく用件はわかっていた。
「本当に悪いんだけど、このプリント渡しておいてくれない?」
そういうと封筒を差し出してくる。
「ああ・・・。わかった。」
それだけで俺は事情を察する。いつものことだからしょうがない。これは俺にしかできないことだと思われていることなのだから。俺はそうは思わないが、周りはもうあきらめてしまっている。
「じゃあ、これプリントね。よろしく。」
そう言うと彼女はもう用はないとばかりにさっさとどこかに行ってしまった。
「何だったんだあれ?プリント?何の話だ?」
国立は神前が去る様子を眺めながら、俺に聞いてくる。
「まあ、いつものことなんだけどな。大したことではないさ。これが普通なんだろう。」
「ん?どういうことだ?」
国立は首をかしげながら俺に聞いてくる。しかし、俺には答えるつもりなんてなかった。
「んー。悪いが先に帰ってくれないかな。ちょっと手ごわい案件ができたんで。」
ぱっぱと済ませれる用件でもないし、俺は先に国立に帰ってもらうことにした。
「ん?今の渡されたプリント絡みか?大変そうだし、なんなら俺が手伝おうか?」
しかし、この要件の場合には国立登は邪魔になるのは目に見えていた。いつもは頼りになるしありがたい申し出だし、断るのは少し申し訳ない気持ちになるがそれはしょうがない。
「いや、大丈夫。この案件は他の第三者がかかわると、危険っていうか、俺一人じゃないとまずいっていうか・・・。」
俺はなんとか断ろうと、言葉を紡ぐ。
「そうなのか?なら俺は先に帰ってほうがいいか。よくはわからんが頑張れよ。夏之助。」
どうやら察してくれたようだ。
「おう・・・。ありがとな。」
素直に感謝の言葉を述べる。
「いやいや、お前がそう言うんなら俺には何もできないさ、じゃあな夏之助。また、明日なー。」
「また明日な。」
登が去ったのを確認し、俺は自分が行くべき場所を思い浮かべひとつ息を吐くと
「さてと・・・・。行きますか。」
両の頬を軽くたたき気合を入れなおした。




