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青柳紅葉編その2

公園で一人寂しくブランコに乗りながら彼女のバイトが終わるのを待っていた。しかし、彼女はなかなか来なかった。どうやら彼女が思ったよりも時間がかかっているらしい。

「それにしても、青柳に妹がいるなんて全然知らなかったな。」

しょせんは赤の他人だし俺に家族のことを全く教えないなんてのも別に普通なのかもしれないが、なぜか俺は少しショックだった。そして、自分がショックを受けてることがショックだった。

「何なんだろうな俺。」

一人ポツリ呟く。少し自分が間抜けに思えた。

「國木さん?」

「うわっ!えっと、青柳若葉さんか。びっくりした。」

「すいません。少し驚かせてしまいました。」

少しかにかんだような笑顔で申し訳なさそうな顔をしている。いや、気が付かない自分が悪いとは思うが。

「それで話って何?」

「ああ、そうですねえ。ここはちょっと場所がが悪いので、ちょっと移動しませんか?」

「まあ、いいけど。それでどこ行くの?」

「駅前のデローズとかどうでしょう?」

デローズとはわが古江高校の近くに位置する駅の前にあるファミレスのことだ。自分も友達と時間つぶしでよく行く場所だ。

「え?大丈夫なの?」

なんか男と女が一対一で行く場所としては・・・。まあ、どこに行くにしても・・。誰かに見られたら勘違いされそうだが。

「何がです?」

相手は大丈夫のようだが、俺のような男は眼中にないということだろうか?それとも勘違いされてもよい?

いや、これは俺の自意識過剰なのかもしれない。自意識過剰系ほど痛いものはない。

「ごめん。なんでもない。行こうか。」


公園からデローズまでの道で俺たちはまったく会話をしなかった。短い距離ではあったし知り合ったのも数時間前のことなので、共有する話題がないというのもあるし、なぜか青柳さん(若葉)がピリピリとした雰囲気だったからだ。


「それで用件ってなんなの?」

ファミレスで席に着くや否や聞いてみる。

「そうですね。妙だと思ったのですよ。」

どうも話が見えてこない。

「何が妙なの?」

「紅葉とあなたの関係がですよ。」

「へ?」

どういうことだろうか?別に変なことはしてないように思えたが。それよりも、むしろ助けているわけだし、なぜ責めるような目つきでこちらを見るのだろうか?

「紅葉の弱みでも握っているのですか?お世話になっているというだけで私には不愉快に思えて仕方ないのです。」

「いや、別にそんなもの何もないけど・・・。弱みなんて知らないけど・・・。」

「ふざけるなそんなことはないはずだ。紅葉が男に近づくなんてありえない。」

ますます話は見えてこない。

「どういうこと?」

「しらを切るつもりですか?」

彼女の眼は怒りに震えているように見えた。こちらの主張は一切受け入れない。そんな雰囲気だ。妹もこんな状態になることはあるが、そんなときは全くはなしが聞き入れてもらえない状態だったりする。

「えっと、少なくとも俺は嘘をつくつもりはないよ?彼女に俺は何もしてないからね?」

「本当ですか?」

「本当。」

彼女と俺はじっとにらみ合った格好でしばらく制止していた。眼をそらせば殺されそうな雰囲気だ。それにしてもおっかない。

「わかりました。信じましょう。でも、紅葉にそれ以上近づくなら・・・殺す。」

この子殺すとまで断言しちゃったよ・・・。

「わかったよ・・・。」

「わかればよいのです。」

そういうと彼女は最初あった時のような笑顔を見せた。変わり身が早くて怖い。

「ふう。」

俺は一息つく。なんか精神的に疲れた。

「それではもう用もないので。」

そういうと彼女はテーブルに千円を置いて、立ち上がっていた。

「え?帰るの?てかおごるけど?」

「ええ。あなたと話す必要ももうないので。おごる?今日知り合ったあなたに借りを作るなんて気持ち悪くて無理です。それと付き合わせた分といいますか、その千円を夕食の足しにでもしてくださいな。じゃあ。」

「ああ。それでは。ところであなたにとってお姉さんって何?」

「姉ですか?紅葉は私の姉であり、私の全てですよ。」

そう言うと彼女は去っていった。

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