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青柳紅葉編その1

「そこで何してるの?青柳さん?」

びくっと小動物のように小さくはねるのは目の前の女の子だ。どう考えても見間違るはずがない。

「えっと、どちら様でしょうか?」

どうやらとぼけるつもりらしい。確かにいつもと様子が違う。何せスーパーの店員さんの恰好をしていたのだから。そして、眼鏡とスーパーの制服なのだろうか、エプロンをしている。

「いや、見間違えないでしょ。どう見ても青柳さんじゃん。いつからバイトをしているの?こういうことしてるとは思わなかった。」

人には他の人に知られたくない秘密というのが一つや二つはある。もしかしたら、青柳さんがこのスーパーでバイトしているというのはそのうちの一つだったのかもしれない。

しかし、なんとなく見逃せなかったのだ。

「あの、すいません。話が見えないのですが、お、お客様?」

どうにも、こうにも声が震えている。そんなに俺にバイト姿が見られるのが嫌だったのだろうか?

「いや、青柳紅葉さんですよね?」

しかし、俺も本当に本人なのか不安になってきた。

「ああ、そういうことですか。」

何がそういうことなのか。俺にはさっぱりわからない。そして、少し口調が変わったような?

「紅葉は姉ですよ。」

「え?」

俺は思わず耳を疑った。

「いや、でもそっくり・・・。」

俺は驚いた。背も髪型もほとんど一緒だったからだ。でも、言われてみれば醸し出している雰囲気が違うのかもしれない。

「そうなんですよ。よく、間違えられるんですよね。」

「そうなんだ。ごめんね間違えて。」

「いえいえいいんです。」

「にしても、双子?」

「そうですね。それよりもあなたの名前は?」

そうだ。そういえば名乗っていない。

「俺の名前は國木夏之助。よろしく。お姉さんにはお世話になってます。」

まあ、お世話してるの間違いだが。妹さんの目の前だし多少はね?

だが、相手からの反応がまるでない。なぜか固まってこっちをじっと見ている。しかも、少し悪意があるような?

「姉にお世話になってるんですか?へえ。」

やっぱり気のせいだったのだろうか。なにやら笑顔だ。

「まあ、挨拶はこれくらいにしてバイトの邪魔した。じゃあ。」

「すみません。バイトが終わるまで待ってもらってもいいですか?ちょっとあなたとお話がしたいので。」

「へ?」

俺が素っ頓狂な声をあげてる中で彼女はにっこりと笑った。

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