26話 帰ってきました『が』
ジョイント通過音が戻ってき___
ジリリリリリッッッ!!
「ぬおわぁっ!」
急に無線機からベルの音が鳴った……あ、EF81のATS作動音か。そういえば電源を入れたままにしていたんだった。
「翫さんって運転士ですよね。聞きなれてるんじゃ…?」
かなでさんは不思議そうにしていた。
うん、まあ…聞きなれてる。でも金沢駅の四番線に入線するときとか、それくらいでしか聞かない。
「あれは心構えができてるから…今のは不意打ちで」
「ふ~ん……で、ここどこですか?」
「すごく…真っ暗です」
「日本…だよな?」
「真夜中でっせ、これ」
周りは福本さんが言ったとおりに真っ暗で、ビル(ホテルかな?)からポツポツ光が漏れてるくらいだ。
……金沢駅じゃない。別の駅だ。
「翫さん、スマホは?」
「電池残量ゼロ」
「え、でも……電車にはコンセントが設置されているんじゃ……?」
「あ~、福本さん……コンセントは確かに、新幹線とか特急車両には設置されてるよ。でも98どころか521系にはないんだ」
「つまり……連絡手段がないんですか……?」
「…そうだね」
いや、もしかしたらミズハなら?
「我らはどうすればよいかの? 人外じゃぞ」
そうだ、ラナドールさんにPUPAさんも残っている。見つかれば後々面倒になる。
「…帰ります? また窓を開けて」
「そうさせてもらうよ。十分楽しませてもらった」
「また会おうぞ、運転士殿」
そう言って二人は離脱していった。逃げ足が早い。
98を牽引しているEF81はそのままどこかの駅へ入線していった。
「番号は…」
「翫さん、あれ!」
かなでさんが指さした先には、『2』と書かれた看板があった。つまりここは二番線。
そしてその横には…。
『博多』
「は、博多ぁ!?」
なんで、どうして、ほんとなんで!?
石川どころじゃないよ九州だよ!
「博多……福岡だよな?」
「座標でも間違えたんですかねぇ」
「だ、誰もいない……」
僕はそのままミズハのもとへ向かった。
「か、看板見た?」
「見ました」
「…どうする? 98のATSは対応してないから走らせられないけど」
JR九州の保安装置は『ATS-DK』である。対して521系が搭載しているのは『ATS-SW』。形式が違うと走らせることができないのだ。
521系を吹田まで回送するときは1次車に連結されて運ばれていく。1次車は対応しているからである。
「マスター、考えてみてください。なぜこのEF81は何事もなく博多駅へ入線できたのですか?」
「……まさか」
「この個体、対応しています」




