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寿命を喰って進化する最弱モンスターに転生した俺、気づけば最強の捕食者になっていた  作者: トウザキ


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第5話 加速する代償

【進化が可能です】


表示は消えない。


選択を促すように存在を主張してくる。


意識を向ける。


表示が、変化する。


【進化先候補】


・強化個体(消費寿命:20日)

・敏捷特化(消費寿命:25日)

・捕食深化(消費寿命:40日)


「……増えてるな」


さっきと違う。


“捕食特化”ではない。


“捕食深化”。


名前が変わっている。


(強化の段階が上がった?)


完全には分からない。


だが、少なくとも――


「同じじゃない」


強化個体。

安定だが、今の自分には足りない。


敏捷特化。

悪くないが、《アクセル》がある。


そして――


捕食深化。


「……これだな」


迷いはなかった。


ここまで来て、引く理由がない。


【進化を開始しますか?】


→ YES


次の瞬間。


これまでとは明らかに違う衝撃が走った。


「――っ!?」


声にならない。


体の奥が、強引に引き裂かれるような感覚。


「ぐ……あ……!」


さっきまでとは違う。


これは“調整”じゃない。


もっと深い。


“踏み込みすぎている”感覚。


(……やばいな、これ)


意識が揺らぐ。


だが、止まらない。


体が勝手に変わっていく。


やがて。


それは、唐突に終わった。


「……はぁ……っ、はぁ……っ……」


地面に手をつく。


全身が震えている。


息が整わない。


「……終わった、か」


ゆっくりと立ち上がる。


そして、すぐに気づく。


「……なんだ、これ」


空気が、違う。


匂いが、濃い。


気配が、はっきりと“形”を持っている。


さっきまでとは比べものにならない。


【進化完了】


【捕食能力が大幅に向上しました】


そして――


【注意】


過剰な捕食適応が確認されました


「……は?」


初めて見る表示だった。


「過剰……?」


意味が分からない。


だが。


本能が理解している。


「……やりすぎたか」


その瞬間。


腹の奥が、強く疼いた。


「……っ!」


さっきまでの空腹とは違う。


もっと強い。


衝動に近い何か。


「……食わないと、まずいな」


理屈じゃない。


体がそう告げている。


視線を上げる。


森の奥。


複数の気配。


さっきよりも、はっきりと分かる。


「……全部、見えるな」


口元が、わずかに歪む。


「いいじゃねぇか」


足が、自然と動く。


止まらない。


「喰って、確かめるか」


これまでよりも明らかに強い気配があった。


【残り寿命:269日】


森の奥へと足を踏み入れる。


止まる気はなかった。


「……いるな」


気配が、手に取るように分かる。


弱い個体とは明らかに違う。

密度がある。重い。


それでも――


「問題ない」


そう思えてしまう自分がいた。


一歩、踏み出す。


その瞬間、気配が動いた。


「――速いな」


低く呟く。


木々の間を縫うように、一つの影が迫る。


今までの獣とは違う。


明らかに“戦い慣れている”動き。


「……面白い」


口元が歪む。


自然と、体が前に出た。


激突。


爪と牙がぶつかり合う。


「ッ――!」


重い。


今までの相手とは比べものにならない。


力も、速さも、一段上。


「……いいな」


笑みがこぼれる。


危険だと分かっているのに、体が拒まない。


むしろ――


(もっと、喰いたい)


相手が踏み込む。


鋭い爪が、喉元を狙う。


「遅い」


半歩ずらす。


同時に《アクセル》を発動。


一瞬だけ、世界が遅くなる。


横へ抜ける。


背後へ回り込む。


爪を叩き込む。


だが。


「浅いか」


手応えが軽い。


皮膚が硬い。


これまでの相手とは違う。


相手が振り返る。


その目が、こちらを捉えた。


「……来いよ」


挑発のつもりはなかった。


だが、言葉が漏れた。


再び衝突。


今度は正面。


牙が迫る。


避ける。


爪が来る。


受け流す。


(見えるな)


動きが、読める。


さっきまでとは比べものにならない。


だが同時に――


「……っ!」


体の奥が軋む。


負荷が大きい。


《アクセル》の反動が、まだ残っている。


(長引かせるのはまずいな)


判断は早かった。


踏み込む。


あえて、真正面から。


相手の爪を受ける。


「ぐっ……!」


浅く食い込む。


だが、構わない。


そのまま距離を詰める。


「――ここだ」


首元へ、噛みつく。


「ギャァァッ!!」


暴れる。


振り払おうとする。


だが、離さない。


(逃がすかよ)


さらに力を込める。


骨が軋む。


肉を裂く。


血の味が広がる。


やがて。


動きが止まった。


「……はぁ……っ」


ゆっくりと、口を離す。


重い相手だった。


だが――


「勝ったな」


【捕食が可能です】


迷いはなかった。


食らいつく。


その瞬間。


これまでとは比較にならない“何か”が流れ込んできた。


「――っ!?」


熱い。


重い。


濃い。


(なんだ、これ……!)


取り込めない。


いや、取り込みきれない。


【警告】


捕食容量を超過しています


「……は?」


初めての表示だった。


だが、止まらない。


体が、勝手に取り込もうとする。


「……やめろ……っ」


止められない。


流れ込んでくる。


押し込まれる。


「ぐっ……ああああっ!!」


体が悲鳴を上げる。


さっきの進化よりも、遥かに危険な感覚。


(……これ、まずい……!)


だが。


同時に――


(……強い)


理解してしまう。


これは力だ。


圧倒的な。


「……ふざけんなよ……」


笑いが漏れる。


苦痛と、歓喜が混ざる。


【適応処理を開始します】


「……は?」


また、知らない表示。


【過剰適応の調整を行うため寿命を40日消費します】


「……勝手に……っ!」


体が震える。


内側から、何かが組み替えられていく。


(進化……してるのか……?)


意識が揺らぐ。


視界が歪む。


それでも。


(まだ、足りない)


そう思ってしまう自分がいた。


「……もっと……」


気づけば、視線は次の獲物を探していた。


森の奥。


さらに強い気配。


「……行くか」


足が、止まらない。


【残り寿命:229日】

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