36話 体育祭と事件2
それから競技が始まって宣言通り彼は今のところ全ての競技に参加して1位をとっている。
あの人何者!?
なぜか同じクラスの生徒も他クラスの生徒達と一丸になって邪魔したりしてるんだけど、それでも1位をキープしてる。
それ以外は特に問題なく進行してるんだけど……
「またボールが花美に向かって飛んできた!これが偶然だと!?
んなことありえるか!」
「生徒の教育はどうなってるのかしら?1度でも許されないことがもう2度目よ!」
「落ち着こう2共!みんなも!こういうこともあるって!」
「怒った!ボコボコにする!!」
「落ち着こうマリアちゃん!!」
ボールを使った競技のボールと借り物競走の定規が、私に向かって飛んできたんだよね(^_^;)
どちらの選手も違う人で、「すみません!」って本当に何度も頭を下げて謝ってくれたんだけど。
2回続けてあると私だって、ん??ってなるけどみんながブチギレそうだから留めるのに必死だ!
マリアちゃんなんて拳を握りしめて殴りに行こうとするから止めるだけでも大変だ!
わざとやってる風には見えないんだけど、ピンポイントで私目掛けて飛んで来るってありえる?
しかも競技をしてるグラウンドから結構距離あるのに、ここまで真っ直ぐ勢い落とさず飛ばすって本当にここの生徒って有能なんだな。
全てエドヴィンさんが掴んで止めてるけど無表情だよ。怒り通り越したのか無表情。
すごく怖いです(((;゜Д゜)))
周囲の生徒達もおかしくね?ってザワザワしちゃってるしよくない雰囲気になってる。
せっかくの体育祭が台無しだよね。
自分が参加する方だったら体育祭とかあまり好きじゃないけど、ここだと本気で頑張る男子達のカッコいい姿が見れるからマリアちゃんと麗華ちゃんと一緒に盛り上がってたのに(´;ω;`)
1回目で2人の機嫌を損ねたけどお菓子を貢いで機嫌を直してもらったのに、2回目が来てまた急降下。
何してくれちゃってるのよ!もう!!
1回目の男子生徒は別室に連れて行かれて、危ないからと競技の場所を奥に移動したんだけどまた起きてしまった。
こう何度もあると危険だと球技を一時停止してステージを移動させることになった。ほんと申し訳ない。
「こんにちは。藤岡さんて言うのよね?」
「はっ、はい!」
その待ち時間にあの青髪の綺麗な女性に話しかけられドキドキしちゃう!
でもアーヴァさんとお兄ちゃんが私の前に立ち警戒しているので苦笑いしてしまう。
ほんと男女関係なく警戒するよね。
「私は御園姫子。3年生をしているの。
貴女のことは色んな人から聞いてるわ。有名人みたいね、すごいわ」
「わっ、そっ、そんなことないです!でもありがとうございます」
ニコッと笑いかけられただけなのに色気がすごくて、気圧され気味で何とかお礼を言う。
あ、唇の右下にホクロあるんだ。色っぽ!
ドキドキしつつそんなことを考えていると「お願いがあるんだけど」と続いた言葉に驚いた。
「エドヴィンを暫く貸してくれない?」
「え?」
「最近しつこいストーカーに付きまとわれて困ってるの」
その言葉を聞き表情が固まったエドヴィンさんとお兄ちゃんとアーヴァさん、それに他の男性達も顔を強張らせて固まっている。
暫く貸してってそんな不味い言葉なの?それともストーカーの方?
これだけ美人ならストーカーの1人や2人いるのも納得だけど、連れのヤのつく稼業の人がいればなんとでもできそうなのに。
「それは大変ですね。でもうちは3人しか護衛がいないので」
「私の方から2人貸すわ。
エドヴィンは優秀だから彼がいるだけで牽制になると思うの。お願いできる?」
「…申し訳ありませんがそれは無理です」
本当に心底困ったと頼んでくる彼女に「はい」と言ってあげたい気持ちになるけどそれはできない。
だから断ったのになぜかみんな驚いた顔をした。
お兄ちゃんやアーヴァさんにエドヴィンさん、マリアちゃん達まで!それはちょっと酷くない!?
え?さっき顔を強張らせてたのは私がOKすると思ったからなの!?酷い!
内心怒っていると、御園さんは本当に悲しそうな顔で更に言う。
「私、本当に困っているのよ?どこに行くにもついて来られて怖くて」
「分かってます。でもエドヴィンは私の為に夫候補兼護衛になってくれたんです。
それなのに他の人の護衛を任せるなんて不誠実です。それに貸すとかモノじゃないんだしできません。そのかわ……ひっ!」
「その代わり私が御園さんに護衛としてつけばエドヴィンさんも一緒に来るから〜」と続けようとしたが、私の言葉を聞いた御園さんの顔から表情が消えた。
美女の無表情怖い!!
そうして彼女は「ああそう、もういいわ」と酷く冷たくそう言って去って行った。
怖かった!
「危なかったねエドヴィン!貸し出されたら薬漬けにされてた!」
「え!?」
「私は薬に耐える訓練もしているのでそこは平気ですが、愛する人に行けと言われたら辛いですね」
「薬の訓練!?」
両腕を擦っているとアーヴァさんとエドヴィンさんの不穏な会話が聞こえ驚いた。
呆然としていると麗華ちゃんが「あの女は危険よ」と彼女について色々教えてくれた……
御園姫子は気に入った男性がいると絶対に手に入れないと気がすまない女で、声をかけて断られたらその妻もしくは妻予定の女性を誑かして男性を貸してもらい薬漬けにして自分から離れられないようにしているらしい。
こわっ!綺麗な顔して怖い人!!(((;゜Д゜)))
「えっ、エドヴィン!彼女には絶対近付いちゃだめだからね!」
「大丈夫です。私は花美以外の女性に興味なんて欠片もありませんから」
エドヴィンさんに気をつけるよう言うと、嬉しそうに両手を握られ頬を染めて見詰められた。
違う!そういうことじゃない!注意してよちゃんと!
「大丈夫です。薬の訓練もしてると言ったでしょう?」ってそういうことでもないから!
うぅ、金髪エロ軍人(元)に頬を染めて深い青い目でじっと見詰められると流されそうで恐ろしい!
「いつまで花美の手を握ってんだ!」
「気持ち分かるけど長すぎ」
お兄ちゃんがエドヴィンさんの手を引き離し、アーヴァさんが私を引き寄せる。
うっ、後ろから抱き締められるとアーヴァさんの体温に包まれてるみたいであったかいし柑橘系のいい香りもして……恥ずかしい!!
「顔が真っ赤ね」
「うっ」
「ほんとだ。真っ赤!」
からかうように指摘してくる麗華ちゃんに益々顔が熱をもって、上から覗き込んできたアーヴァさんに「ほんとだ」なんて言われて益々恥ずかしい!!
俯いた私を強く抱き締めてくるのやめてください!!
「ちょっと目を離した隙に何してんだお前は!」
「いい度胸ですねアーヴァ。いい機会です。一度本気でやり合いましょうか?」
怒ったお兄ちゃんが私とアーヴァさんを引き離して、エドヴィンさんはアーヴァさんに微笑んでやり合いましょうって……
ちょっとエドヴィンさん落ち着こう!
その殺人鬼みたいなハイライトのない目、やめませんか?
ほんとに怖いです(((;゜_ ゜)))
「いいよ!今日は体育祭だもんね!俺達もちょっと運動しよ!」
「ちょっとアーヴァ!?」
「あなたばかり花美の好感度が上昇してて気に入らなかったんです」
「こっちこそ!エドヴィンのことにばかり花美取られて怒ってた!」
「えええ!?」
「花美の護衛があるから程々にな!」とお兄ちゃんが言い、マリアちゃんのお父さんが審判でなぜか2人が喧嘩?決闘を始めた。
お互いに素手の殴り合いだが、その動きは人外じみていてアニメとかでしか見たことのない動きをしてた。
なぜか生徒達も競技しないで観衆となっていて、「おおー!」「すげー!」「流石メイちゃんの護衛に選ばれるだけある!」なんてすごい興奮してた。
確かにすごいけど、喧嘩しないでね(^_^;) なぜ先生方も見てるんですか?すごい戦いが見られそうだ?あ、止めないんですね。
そうして観衆が見守る中2人は決闘しエドヴィンさんが勝利した。
お互いに体のあちこちを赤くしながらニコニコして右手で軽くハイタッチしたりして仲良さげだけどさ。
周りも「ヒューヒュー」口笛を鳴らしたり拍手したりしてるけどさ!
ちょっとモヤモヤする!




