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女性が少ない世界でVTuberやります!  作者: ブル(犬川)


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33話 嵐の襲来2



「三浦さんが辞めろと言っても人の意見は変えられませんよ?私は辞めません」

「ふざけんじゃないわよ!!

 VTuberを辞めろって言ってんでしょ!調子に乗るんじゃないわよ小娘!!」

「それ以上花美に近付くな」

「どきなさい!! 私の邪魔するんじゃないわよ!!」

「エドヴィン!!」

「大丈夫です」



ブチギレした三浦さんが私の元へ来ようとしてエドヴィンさんに止められて、益々怒ってエドヴィンさんを殴っている!

慌ててエドヴィンさんに声をかけるも「大丈夫」だと余裕の表情で答えられた。

確かに、三浦さんの拳が何度となくエドヴィンさんを叩いているがビクともしない。

三浦さんの旦那さん達は彼女を止めようとして殴られ怯んだり吹っ飛ばされたりしてるのに。

流石鍛えてる人は違う!筋肉は裏切らないんだね!

ちょっと感動してその筋肉を崇めてしまいそうになったけど、そんな場合じゃなかった!

マリアちゃんは怯えて私にしがみついてるし、麗華ちゃんも三浦さんのあまりの様子に目を見開いて固まってる。

そりゃ怖いよね!こんな人!!



「えっと、落ち着きましょう三浦さん」

「何が落ち着こうよ!バカにしてんじゃないわよ!! VTuber辞めろって言ってんの分かんないの!?」

「辞めませんって私が言ってるのは分からないんですか?」

「アアアアアアアア!!」



落ち着かせようとしたら逆に火に油を注いでしまった(^_^;)

バーサーカーモードを発動した三浦さんの攻撃が激しくなったけど、エドヴィンさんは相変わらず不動だし旦那さん達はボロボロだし。

連れの黒髪メッシュは転がって腹抱えて笑ってるし。

マリアちゃん麗華ちゃんやその護衛さん達も校長先生もみんなドン引きしてるしほんとカオス。


誰か助けて(´;ω;`)












三浦さんの勢いは中々止まらず、その醜態に周囲はドン引きしたまま彼女が疲れ果てるまで見守るしかなかった。

すごいよ三浦さん!バーサーカーモードが2、30分も続くなんて!ゲームのキャラなら数分で切れちゃうのに!

三浦さんが力尽きて大人しくなると旦那さん達が連れて帰ろうとしたけど「待ってください」と止める。

これでようやくまともに会話できるようになったんだよ?

このまま帰ってくれた方が楽だけど、また来るかもしれないしある程度納得してもらった方がいいと思う。

納得してもらえるかは分からないけど(^_^;)



「三浦さん」

「……何よ」



ほんとにすっかりお疲れで返事の声も喉がやられて嗄れている。

そんな彼女にアーヴァさんに用意してもらった緑茶入りカップを差し出すけど、やっぱり受け取ってもらえない。

溜息を一つ吐いて彼女を見詰める。その目は虚ろだった。



「私はVTuberが好きです。好きだからこれからも続けていくつもりです」

「…あっそ。勝手にしなさいよ」

「三浦さんもアイドルが好きだから続けてるんですよね?それと同じです」

「はあ?私はアイドルだからアイドルしてるのよ。好きとか嫌いとかそんなんじゃないわ」



呟くような小さな声で答えてくれる三浦さん。

でも好きでVTuberをやっている私と違って、彼女は好きだからとは答えない。

なんだろう?使命みたいな、アイドルするのが義務みたいになってしまってるのかな?



「私は三浦さんがいつも楽しそうに笑顔で歌ったり踊ったりしてるのをテレビで見てます。

 あんなに素敵な笑顔をしてるんだから、歌うことも踊ることも好きなんじゃないですか?」

「……そりゃあね、確かに歌も踊りも好きよ。昔は楽しくやってたわよ」

「今は違うんですか?」

「……」



私の質問に答えていた三浦さんが、今は違うのか尋ねると言葉に詰まり睨みつけてきた。

昔は好きでやってたけど今は違うんだね。



「私は昔の三浦さんと同じです。今VTuberをしてるのが楽しいんです!

 だから辞めろって言われても辞めないです!」

「勝手にすればいいでしょ!」

「また文句を言いに来ませんか?」

「来ないわよ!あんたみたいなしつこい女嫌いよ!」



イライラし始めた三浦さんから嫌いとまで言われた。

うん、もう来ないって言質はもらえたからいいけど、面と向かって言われるとちょっと悲しい。



「私は三浦さんの曲好きですよ。【あなただけを】【初めての恋】が特に好きでCDもBlu-rayも持ってます!」

「ああそう」

「はい!だからこれまでみたいに笑顔で楽しそうに活動してほしいです」

「……あんたが邪魔するからでしょ!あんたがいなきゃこれまで通り楽しくやってたわよ」

「本当ですか?私と三浦さんは全然別の所にいるんですよ?三浦さんはテレビやコンサート、YTubeは被ってるけど私はVTuberとしての活動だけ。

 企業依頼もやってないから三浦さんの仕事を奪うようなことしてないはずです。

 ただ三浦さんが自分以外に目立つ女がいるって気にしてるだけなんじゃないですか?」



三浦さんと私の活動場所は殆ど被ってない。テレビやコンサートとか私には無理だよ!

歌は歌わないけどドラマCDは出すかも知れない。

企業依頼もきたりしてるけど、そんなのやる予定ないし興味もないから断ってる。

だから彼女の仕事を奪うことはないと思うし、ただ彼女が自分以外に目立つ女がいるって気にしてるだけじゃないのかな?

そう思って指摘するとギロリと睨まれた。



「当たり前でしょ!この世に私以外目立つ女が出てくる必要はないの!

 私だけが輝いてればいいの!テレビに出てみんなに愛されて!他は全部隅っこで転がってればいいのよ!そう、ゴミよゴミ!

 私以外の女なんてみんなゴミと同じ!いらないのよ!」



すごい考え方で唖然としてしまう。

自分以外の女性はいらないなんて。ほんとにこの人とは会話ができない。考え方があまりに違いすぎる。

どうしたらいいのかなと悩んでいると三浦さんの旦那さんや他の男性達が、とても冷ややかな目で三浦さんを見ていることに気付き心臓が跳ねた。

……なんだろ、すごい嫌な予感がする。

知らず冷や汗が流れ抱き締めてるマリアちゃんをギュッと更に抱き締めた。

そのとき麗華ちゃんの静かな、けれど怒りを含んだ声が聞こえた。



「貴女よくそんな考え方ができるわね。

 今世界は女性不足で困っているのよ?それなのに自分以外の女性はいらない?

 はあ?ふざけるんじゃないわよ!」



いつも呆れたような顔か、ツンとしてるけど隠しきれない嬉しそうな顔ばかり見せる麗華ちゃんが怒っている。

無表情だけど整っている分迫力のあるその気迫に、三浦さんは圧され怯えた声で何とか言い返した。



「なっ、何よ!別にどう思ってようと私の自由でしょ!

 文句あるわけ?」

「あるに決まってるでしょ。世界は女性不足なのよ?私達女性には新たに女性を増やす使命があるの。

 それを貴女何なの?自分がチヤホヤされたいから他の女性はいらないですって?低俗にも程がある考え方だわ!」



地を這うようなその声や冷ややかに三浦さんを見詰める冷酷な表情はまさに悪役のそれ!

でも言っていることは至極まともだからこそ、ゾクゾクするくらいカッコいい!

すっかり怯えた三浦さんは口をパクパクして必死に何か言い返そうとしてるが二の句が継げないようだ。



「麗華ちゃんカッコいい!」

「カッコいい!」



マリアちゃんと2人で呟くと麗華ちゃんに睨まれた。

でもね、私達の言葉に周囲の男性達はコクコクと頷いてるよ!

麗華ちゃんを大好きな護衛さんは恍惚とした表情で見惚れてるし!

めっちゃ分かるその気持ち!私とマリアちゃんもキラキラした目で麗華ちゃんを見てるから!



「チヤホヤされていい気になってるのは貴女の方ね。

 女性だからと何でも許されると思ってるなら大間違いよ

 処分される前にその考えは改めなさい」

「……なっ、何よ処分て。そ、そんなことあるわけないじゃない」



【処分】という単語が麗華ちゃんの口から出たとき、ゾクリと背筋に悪寒が走った。

「そんなことあるはずない」と言い返す三浦さんを見て麗華ちゃんは無言だ。

その様子に三浦さんは黙り込んだ。

なんだろう、マリアちゃんを抱き締める手が震える。そんな私の手にそっと大きな手が重ねられた。

顔を上げると「大丈夫!」と言い微笑むアーヴァさんと頷くお兄ちゃんとエドヴィンさんがいた。

そのことに酷くホッとして肩の力が抜ける。

「大丈夫?お母さん」と心配そうに私の顔を見るマリアちゃんに「大丈夫!」と答えギュッと抱き締める。

いけないいけない!可愛い娘に心配かけちゃだめだよね!


その後は大人しくなった三浦さんを旦那さん達が連れて帰った。

旦那さん達は何度も私達に頭を下げてくれたけど、悪いのは三浦さんだからね。

あの黒髪メッシュの男性は「花美だけやの〜てお友達も含めておもろいわ〜」と意気消沈する三浦さんを気にすることなく呑気に言っていたので軽蔑した。

この人は三浦さんに興味なんてないんだね、初めから。

そんな私に気付くとニヤリと笑って旦那さん達と共に帰って行った。

この世界に来てから女性に甘い男性ばかり見てきたから、こっちにもあんな男性がいるんだって勉強になったよ。


応接室を出ると沢山の人々が集まっていて驚いた。

「大丈夫だった?」「何かされなかった!?」とみんな心配して声をかけてくれて、「大丈夫だから!麗華ちゃんがガツンと言ってくれたから!」と必死に説得するはめになった(^△^;)

それでもみんな中々どいてくれなくて心配してくれてるって分かるけど、これだけ大勢の男性に囲まれると流石に怖い。

お兄ちゃん達が前に出て守ってくれてたけど、どいてって言っても聞いてくれなくてどうしたらいいか悩んでたら。

「退きなさい、邪魔よ!」と麗華ちゃんの一喝でみんなどいてくれた。

流石麗華ちゃん!カッコいいです!!

そうやって今日は麗華ちゃんのカッコよさを再認識した日となった。


とにかく三浦さんが帰ったことで騒動も落ち着いてホッとした。

したんだけど……

ちょっと騒動はまだ続くみたい(´;ω;`)



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