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女性が少ない世界でVTuberやります!  作者: ブル(犬川)


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閑話 とある女性は嫉妬する



   〜〜三浦由麻(みうらゆま)〜〜



「ァアアアアアアムカつくムカつくムカつく!!」



ガシャガシャガシャンと大きな音を立て床に叩き付けられる食器と料理たち。

男達は女の機嫌をとろうと「落ち着いて由麻」「どうしたの?君の好きなアールグレイの紅茶だよ?」「ご飯を食べて一旦落ち着こう?」と声をかけるが、「うるさい!!」と怒鳴られビンタされる。

最近の女の癇癪は以前の比ではなく、いい加減男達もうんざりしていた。

女の機嫌をとる為に用意した食事はどれも女の好物だ。

選び抜かれた高級食材を使い何時間もかけて作った料理をムカつくからと台無しにされる。

こんなことがここの所毎日だ。男達は本当にうんざりしていた。


女は三浦由麻という名前のアイドルで、女性の少ないこの世界では滅多にいない本物の女性アイドルということで大人気になった。

ここにいる男達はテレビで歌い踊る彼女を見て惚れて求婚し、見初められて結婚した身だがいつの間にか愛情は消えていた。

それに、今は三浦由麻よりずっと素敵に思える女性がいる。いつも怒ってばかりの彼女とは真逆の女性だ。

彼女を知ってから愛情はなくとも自慢できる妻だったはずの女が足枷にしか見えなくなり、日に日に離れたい気持ちが強くなっていた。

それでもアイドルという世間から注目される女の夫であることから、簡単に離婚したりできない。

離婚すれば女のファン、いや今はもういるかも分からないそれより未婚者男から叩かれるのは明白で、夫から離婚したいと言われて別れるなんてプライドの高いこの女が許すはずもない。

そもそも父親に見捨てられた女にはもう自分達しかいない。そんな状況で別れることはできなかった。


──嫌でも我慢する。


男達にできるのはそれだけだった。




「オギャアオギャアオギャア!」



女の出す大きな音と怒鳴り声に、別室で休ませている子供が泣き出した。

しかしそれが余計に女の怒りを買う。



「うるさいあのクソガキ!殺してやる!!」

「落ち着け由麻!」

「落ち着いて!」

「あの子は女の子なんだよ!!」

「女だから何!? あのクソ女も女だからってだけでチヤホヤされて!! ふざけんじゃないわよ!!」



近くにあったナイフを持って我が子を殺しに行こうとする女を必死に止める。

この女が癇癪を起こして我が子をぶつことは何度もあった。それで可愛い我が子を殺された夫は家から出て行き戻ってこない。

本当は自分達も出て行きたいが、ここに残っているのは世間体に縛られて残るしかなかった者達だ。

ようやく数ヶ月前に初めて女の子が生まれた。

「やった!女よ!これで私は今よりもっと有名になれるわ!!」

そのときは女も嬉しそうにしていたのに、すぐにVTuberメイのことを思い出し発狂している。


そう、VTuberメイだ。

由麻とは違う。優しくて明るくて笑顔ばかりの素敵な女性だ。


彼女が現れてから、いや正確には彼女が本物の女性と発覚してから三浦由麻のファンは目に見えて減っていった。

メイの存在を知った女は不愉快そうに顔を歪め、インタビューでメイについて聞かれると烈火の如く怒り狂い、「あんなの偽物の女に決まってるでしょ!」と怒鳴りつけた。

そんな自分の発言のせいでメイの登録者が増えたことにも怒っていたし、彼女が何かバズる度に文句を言っては物を投げたり大変だった。

メイが日本国内だけでなく世界でも人気になると愚痴は止められず、テレビでもインタビューでもどこでもメイの悪口を撒き散らしているので恐ろしい勢いで人気は落ちていった。

反省なんてすることなく女は全部を彼女のせいにする。


「何よあんな男に媚びた女のどこがいいわけ!?」

「男が喜びそうなことばかり述べて、そんなの誰でもできるでしょ!」

「歌も踊りもできないくせに偉そうにして!」


毎日毎日毎日メイの悪口を聞かされて本当にうんざりだ。

男達の気持ちはとっくにこの女にないのに、憧れている女性の悪口を聞かされ続けることがどれほど苦痛か。

この女には分からないのだ。



「そんなにムカつくなら一度会いに行ってみ〜ひんか由麻ちゃん」

(ばく)!」



食器や料理が散らばってめちゃくちゃな食堂に、のんびりした声と共に現れた男に女が抱き着く。

男は女を抱き締めながらチュッと目元にキスすると女はさっきまでの癇癪が嘘のようにクスクスと笑った。



「VTuberメイのことが気になるんやろ?あんな女由麻ちゃんに比べてお子ちゃまやさかい気にするほどもないと思うんやけど。

 由麻ちゃんがそない気にするなら一度文句言いに行こか?そしたらスッキリするやろ」

「ふふふ!爆はよく分かってるわ。バカな男はあんな小娘にすぐ騙されるんだから!

 そうね、一度文句を言ってやるのもいいわね!」



2人は抱き締め合いながらメイの学校へ行くなどと勝手なことを言っている。

彼女に会ったら烈火の如く怒鳴り散らすのは分かりきっている。

この女を彼女の元へ行かせるわけにはいかない。男達の意見は一致した。



「待ってください!部外者の私達が行くなんて学校の迷惑です!」

「そうだよ由麻、止めておこう」

「ただでさえ女子生徒の守りで大変なのにアイドルの由麻まで来たら大騒ぎだよ?やめとこう!」

「うるさいうるさいうるさい!!私に指図するなんて何様よ!

 あんた達は黙って私に従えばいいのよ!」



男達は何度も説得したが女は一考に聞く耳を持たなかった。

そんな男達の頬は腫れ体には痣が沢山できていたが、そんなことを女が気にすることはなかった。



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