第4話 この世界、どう生きる?
「職業…?」
心地よい風が頰を掠める。
「そうです!戦闘職の中でも色々と種類があるのです!」
くりくりとした碧眼を煌めかせ、妙に高めなテンションでマニは話し出した。
「冒険者!騎士!狩人!主にこの3つから、ディオさんにはご自分にあった職業を選んでもらいマス!」
アカデミーにて小耳に挟んだことはある名前だった。しかし、当時は戦闘に関して一切興味がなかった上に、専攻するつもりもなかったため、右から左に流してしまっていた。
「簡単に説明いたしますと、ギルドからのクエスト等で報酬を得て生活するのが狩人で、王家や貴族などの身辺警備をするのが騎士。冒険者は…なんでもアリって感じですね」
何かが、俺の中で拒否反応を起こした。それが何なのかは、俺自身もよく分からない。ただ、俺は無意識のうちに言葉を発していた。
「冒険者は、ロマンを求めなければ失格だ。」
言うまでもなく、場が凍りついた。
突然の俺の言葉にマニは言葉を失い、「ろまん…ですか…」などと言いながら、引きつった笑みを浮かべていた。
状況を飲み込んだ俺は、慌てて発言を訂正する。
「って、よく祖父が言ってたなーなんて…てへへ。」
マニはようやく顔に血の気が戻り、いつもの笑顔に変わった。
「ディオさんのおじいさまは冒険者だったんですか?」
「そうだよ。でも、冒険の途中で行方不明になって死んじゃったけどね。」
祖父との記憶は、まだはっきりと覚えている。幼い頃は祖父のことが大好きで、いつも背中を追っていた。
「マニさん。俺、決めたよ」
マニを真剣な眼差しで見つめる。改まった俺の態度に、彼女の方まで姿勢を正し始めた。
「冒険者になるよ。俺。」
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一通りレクチャーを終え、遂に旅立ちの日が訪れた。マニさんとも、とりあえずのところは今日でお別れとなる。
「本当に、お世話になりました。マニさんに色々と教えてもらったおかげで、俺自身成長できた気がします。なんていうか、俺は兄弟もいないから、優しいお姉ちゃんができたみたいですごい嬉しかったです。」
ぎこちなくだが、思っていたことを伝えた。この先何があるか分からない世界だ。後悔だけはしたくない。
マニも満面の笑みで、俺の言葉に頷いた。
「またいつでも遊びに来てくださいね!ディオさんならきっとやれますよ!まずは、聖樹街に安全にたどり着くようにしてください!」
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キャラバンを出ると、街路は人でごった返していた。あちこちで開かれる屋台では、人々が物々交換をしていたり、クエストの支度を進めていた。キャラバンの前に構える大きな門からは、獣車が頻繁に出入りしている。
聖樹街ユグドラシル。それが次の目標地点である。冒険者として、行くべき場所と言われる街だ。
城壁の外に出たこともない俺にとっては、不安に満ちた場所だが、同時にロマンも感じる。
「行くか。」
ポツリと呟き、獣車の運転者に代金を手渡す。この街に戻ってくるのは、いつになるのだろうか。3ヶ月、半年、いや、もしかしたら戻ってくることはないかもしれない。そんな気さえした。
獣車のなか、コンテナのような直方形で、既に数人の男が乗り込んでいた。
俺は1番隅の席を陣取ると、移りゆく外の景色を見ながら眠りについた。
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どれくらい経ったのだろう。ガタゴトと揺れる車内で、俺は目を覚ました。
辺りはすっかりと暗くなっていて、何も視覚で捉えることができない。
そんな暗闇の中、遥か先にうっすらと輝きを放つ場所が見える。エメラルドグリーンの街並みが、ランタンの光で美しく照らされている。
街の中央には、遠くからも肉眼で捉えられるほど巨大な樹が鎮座している。その樹にそって街がつくられているように、街全体が、巨大樹と一体化している。
その姿は、まさに圧巻だった。
「あれが、聖樹街ユグドラシル…」




