最終章:鬼 1/8 <禁忌の研究>
高山から報告書を受け取った上層部。
上層部は強国へ立ち向かうべく、禁断の道へと歩を進めていく。
◆禁忌の研究
高山が出した報告書を見た、上層部は早速行動に出始め、
香山に向かう様子を高山は公舎内の窓辺から見ていた。
香山へ向かう車両には最新鋭の武器や医療器具を載せているとの話は聞いている。
「集落の者と上手くやれることを望むが…上の奴らには望みは薄いが、一応その事も報告書には記し、口頭で伝えてあるから大丈夫だとは思うが…」
高山は己の席へ戻り、提出した報告書の草案を手に取りページを捲りながら見ていた。
「三日か…たった三日の出来事としては…ふっ…俺の頭もすっかり戦場ではない考えになったのか…二人の犠牲者を多く感じるとは…」
「高山さん、上の人間は大丈夫でしょうか?」
声を掛けてきたのは通訳として同行した者だった。
不安そうに窓から現地へ向かう複数の車両を見ている。
「さぁな…俺以上に血の気が多く、国のことを考えている奴らだ。現地の者と協力するよう伝え記しているが、分からん。」
--一年後--
ある朝、高山が社内発行される新聞を手に取ると香山に研究施設の完成を知らせる記事が写真と共に載せてあった。
その写真を見ると香山の山頂は部分的に削れ平になっており、
その平らな部分に木造の建物が建っていた。
「ほぉ、立派な建物だ。この一年という短期間で出来た建物とは思えんな…」
高山は記事に目を配ると、内容は
"「香山研究所」この施設では、未知の物質が見つかったとの報告が昨年あり、検討を重ね国に必要な物と判断し香山に施設の建築をしたとこの事だが、どういった物質なのかは、現在調べているようだ。"
との事だ。
「物質か…ある程度の位置しか分からなかったが、見つけたのか?しかし、この写真を見る限りだと…神石は無視したか…それとも」
高山は記事に目を通し、ふと集落を去る際のことを思い出した。
--香山集落--
高山は一人で集落の長の下を尋ねていた。
「世話になった。」
「いえいえ、不幸なことがあったようですが、
こう言ってはなんですが、起きえることだったのです。
特に今回の調査のようだと…致し方ありません」
長は高山を慰めるように、高山には落ち度がないとこを伝えるように口にする。
「俺は、帰った後にこの香山についての事をまとめて報告する。
鬼のことも含め全部をな…そうしない内に軍関係の者達が来るだろう…
今回の我々以上の集団でな」
長は高山の話を聞き、俯きながら口を開いた。
「お国の為ですか…」
「そうだ。日本を列強国…手を出してはいけない国と各国に思わせる為に来るだろう…
奴らは、習慣の事などは気にせずに事を進めるはずだ」
高山は冷たく話を続ける。
「お国の為という大義名分が奴らに必要な事だ…俺も軍人であるからには命令に従う。
上が腐ったヤツでも…戦場であるなら、戦況という理由でどうにでも出来るが、ここは戦場ではない…
この地は…この地の習わしや鬼への対策も報告には記すが期待はしないほうがいい。
あなた方で鬼への対策を取って欲しい」
高山は立ち上がると長に敬礼し、集落から去って行った。
--現在--
宣戦布告から数日。
高山は、周囲の空気が変わっていくのを感じていた。
以前は、冷めた目で発表を見ていた者たちが、今では「やれる!」と口にする。
その熱気は、特に本土で強く感じられる。
最近領土を広げた地域からは、
「甘く見るべきではない」との報告もあるが、
そうした声ほど、上には届かない。
日本を強国へと進めたいのか、
それとも、滅びへと導きたいのか――
判断が難しい。
「我が国が刃を向ける相手を、間違っていないのか……」
高山は、窓から街を見下ろしながら呟いた。
「大東亜共栄圏の構想は嫌いではない、亜細亜として先頭を切るべきだとは思うが、国力の差を見誤っている。
刃を見せずに進むべきところを、今の上層軍部は、押し切ろうとしている。」
街の空気は、かつての穏やかさを失い、戦の匂いが広がりつつあった。
国民が知る情報の八割は日本軍が優勢であるというもの。
負の情報が入っても、それは曖昧にしか伝えられない。
高山に届く情報でさえ、真実かどうか怪しい時がある。
そんな中、時折耳にする“神隠し”の話――
十六歳を迎えた男子、
大人の男性、そして時折女性が、
突然姿を消すという報告が増えている。
高山はぼそりと小さな声でつぶやく
「神隠し…か、一応報告者として香山に係わる者として時折、香山のことを耳にするが…そこまで国として切羽詰まっている戦況か…俺も戦場に赴く時が来るかもしれん…」
香山に係り、神隠し等の情報が耳に入る高山…香山で起きる現象と否応にも繋げている…




