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青鬼 -開-  作者: ハジメ
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最終章:鬼 3/8 <秀でし判断をする者>

捕虜者は高山を訪ね、あることを志願する。

捕虜として逃げきった後に体験したことが彼を志願へと動かしていた。

◆秀でし判断をする者


元捕虜は高山を見るように頭を上げ、告げた。


「あの、"風"というやつになりたい」


「風?……特攻隊か…何故だ?お前には何の特にも成らないことだ。それに命を大事にしろと言われたんだろ?何故、死が決まった特攻に志願する?」


高山は通訳者に伝えることを目で伝える。通訳者は、少し躊躇しながらも伝える。


「言われた。大事にしろと、だから、今の俺がいる…だけど、俺はここで…I took many lives before becoming a prisoner of war... I wondered if there was any meaning in my survival... before coming here...(捕虜になるまで、多くの命を奪った…そんな俺が生き残る意味はあるのか?と考えたんだ…ここに来るまでに…)」


「何、世迷い言を…綺麗事で済むなら罰する者はいらぬ。ある宗教では神に己の罪を告白することで軽減するという馬鹿なことがあるようだが、奪った命が戻ることはない。その罪を背負ったまま生きる。それが人が人であると俺は思うが?それに己の死に場所は出来る限りは己で決めたい。罪に追われて(罪から逃げるように)決めるのではなくてな。」


高山は英語で語り、その瞳には『軍人』『指揮官』高山ではなく、一人の高山としての言葉と決意があり、その瞳は元捕虜に訴えかけていた。 "お前の思いを否定することはない。だが、感情で命を無駄にはするな"と


元捕虜は、しばらく黙っていた。

そして、静かに言った。


「…じゃあ、俺は、罪から逃げるためじゃなくて、  誰かのために死ぬことを選びたい。  

それが、俺の“風”だ。」


高山は、ただ深く頷き、記憶をたどるように言葉を続けた。


「マイケル…お前の身をしばらくの間は俺が預かる。お前を異国の軍人で有りながら日本軍人として、おそらく時間はないと思うが育てる。お前は最低でも二カ国の戦争思想を持つことになるが、基本は変わらないだろう」


マイケルは高山の発言が分からず、通訳に目を配る。 通訳は高山に確認後、マイケルに伝えると、マイケルの瞳に涙が浮かび、立ち上がり直立すると高山に向け敬礼をし、高山は軽く頷くと敬礼を解き、ただ立っていた。


「マイケル。まぁ、このままでも構わぬが、外国人が居るという事自体が異常事態だ…名字と名前を決めるか…マイケル、お前が暮らしていた村の名前は分かるか?」


通訳は適切に高山の言葉をマイケルに話し、『佐久耶(さくや)』と分かり、それをそのまま名字に使い、名前を秀でた風の閃き『秀風(ひでかぜ)』とした。


佐久耶(さくや) 秀風(ひでかぜ)。この名前がお前だ。マイケルとは呼ぶことはない。分かるな?お前を現す名前だ…村のことや己の閃きを信じろ。」


秀風は何度か口にすると、小さく頷いた。


「分かりました。村のことは忘れない。自分が村の代表。」


数ヶ月も過ぎると秀風は、片言だった話し方から流暢な話になっていた。


ここに来て最初の方は、冷たい目で見られていたが、高山の側にいるという事が良い方向へ向かい、秀風は徐々に馴染み仲間意識があった。


高山はその姿を見つつ嬉しく思い、頬が緩んだが窓から外を見て気持ちを引き締めた。


「我が国は、もう…底を突き始めている。ここ最近は既に特攻ありきだ…これで、もし勝てたとして…弱国だ…直ぐに滅びるだろう」

マイケル改め、高山は香山で言ったように秀風に高山の部下という位置だが自由を与えた。

佐久耶 秀風は高山の部隊とも親しくなり、高山は日本の『底』を感じていた…高山の目に映る日本とは

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