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壁であり続けた男  作者: 中原九尾


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第十二話 評価審査

「来月、定期のランク審査があるので、皆さん忘れずに」


 ギルドの掲示板に貼られた告知を見て、俺は特に気負う様子もなく頷いた。


 冒険者ギルドでは、年に一度、所属者全員のランクを見直す審査が行われる。これまでの実績や、実技試験の結果を踏まえて、ランクの昇格・維持・降格が判断される。


「俺は、まあ、今年もBは維持できるだろうな」


 俺がそう漏らすと、隣にいたロウが、少し複雑そうな顔をした。


「……そうだといいけど」


「何だよ、その顔」


「いや、別に」


 ロウは、それ以上何も言わず、掲示板の前を離れていった。



 その夜、酒場で、ヴァンとオーグが、何やら小声で話し込んでいるのを見かけた。


「なあ、何の話してるんだよ」


 俺がそう声をかけると、二人は、少し気まずそうな顔を見合わせた。


「いや、大したことじゃない」


 ヴァンが、そう言葉を濁した。


「今年の審査、ちょっと厳しめだって噂があるって話をしてただけ」


「厳しめ?」


「実技の評価基準が、去年より細かくなるらしい。被弾数とか、怪我の頻度とかも、より重視されるようになるとか」


 その言葉に、俺は、少しだけ胸がざわついた。


「まあ、俺は今まで通りやるだけだ。体張って、仲間を守る。それが評価されないなら、それはギルドの見る目がないってことだろ」


 俺がそう言い切ると、ヴァンは、何か言いたそうな顔をしたが、結局、それ以上は何も言わなかった。



 審査を控えたある日、ミナが、少し心配そうに聞いてきた。


「ガイルさん、審査、大丈夫ですか?」


「当たり前だろ。十八年のキャリアを舐めるなよ」


「そうですよね! ガイルさん、絶対大丈夫です!」


 ミナは、すっかり安心した様子で、そう言った。


 その隣で、ロウとオーグが、何とも言えない顔で、こちらを見ていることに、俺は気づかなかった。


 審査本番まで、あと数週間。俺は、これまで通りのやり方で、この日々を過ごすつもりでいた。

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