第十二話 評価審査
「来月、定期のランク審査があるので、皆さん忘れずに」
ギルドの掲示板に貼られた告知を見て、俺は特に気負う様子もなく頷いた。
冒険者ギルドでは、年に一度、所属者全員のランクを見直す審査が行われる。これまでの実績や、実技試験の結果を踏まえて、ランクの昇格・維持・降格が判断される。
「俺は、まあ、今年もBは維持できるだろうな」
俺がそう漏らすと、隣にいたロウが、少し複雑そうな顔をした。
「……そうだといいけど」
「何だよ、その顔」
「いや、別に」
ロウは、それ以上何も言わず、掲示板の前を離れていった。
*
その夜、酒場で、ヴァンとオーグが、何やら小声で話し込んでいるのを見かけた。
「なあ、何の話してるんだよ」
俺がそう声をかけると、二人は、少し気まずそうな顔を見合わせた。
「いや、大したことじゃない」
ヴァンが、そう言葉を濁した。
「今年の審査、ちょっと厳しめだって噂があるって話をしてただけ」
「厳しめ?」
「実技の評価基準が、去年より細かくなるらしい。被弾数とか、怪我の頻度とかも、より重視されるようになるとか」
その言葉に、俺は、少しだけ胸がざわついた。
「まあ、俺は今まで通りやるだけだ。体張って、仲間を守る。それが評価されないなら、それはギルドの見る目がないってことだろ」
俺がそう言い切ると、ヴァンは、何か言いたそうな顔をしたが、結局、それ以上は何も言わなかった。
*
審査を控えたある日、ミナが、少し心配そうに聞いてきた。
「ガイルさん、審査、大丈夫ですか?」
「当たり前だろ。十八年のキャリアを舐めるなよ」
「そうですよね! ガイルさん、絶対大丈夫です!」
ミナは、すっかり安心した様子で、そう言った。
その隣で、ロウとオーグが、何とも言えない顔で、こちらを見ていることに、俺は気づかなかった。
審査本番まで、あと数週間。俺は、これまで通りのやり方で、この日々を過ごすつもりでいた。




