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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第6章:【真・創世記】「働かずに稼ぐ」という神話と、一億人のログイン移民
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【資産強奪祭】侵略者は「公式勇者」。一万の精鋭は数百万人のボーナスへ

 帝都中央に生成された巨大闘技場。そこは、現実のことわりが通用しない「絶対非干渉領域」だった。


 強制ログインさせられたU.G.A.(地球統合連盟)の精鋭たちは、自分たちの頭上に浮かぶ黄金のアイコンを見て戦慄せんりつした。


『Mob名:U.G.A.侵略兵(公式勇者)』

『推定ドロップ額:800,000RC』


 彼らはもはや「人間」として認識されていない。レインのオーバーライドによって、彼らの存在定義は「中身の詰まった期間限定の宝箱」へと書き換えられていた。


『全市民に告ぐ。狩りの時間だ。……これは戦争ではない。我が国の資産を回収する「清掃」に過ぎない』


 レインの無慈悲な宣言とともに、ゲートが跳ね上がった。なだれ込んできたのは、数百万の「市民」たちだ。彼らは武器を持たずとも、市民権ランクによって付与された「圧倒的なステータス補正」により、超人的な速度と腕力を得ていた。


「撃て! 撃ちまくれ!」


 マクガイヤー大佐の絶叫とともに火器が放たれるが、弾丸は市民の手前で「Invalid Target(無効な対象)」と表示され、光の粉となって霧散する。市民権ランクが下の者が、上位の者に傷一つ負わせることはできない。それがこの世界の、覆しようのない「物理法則」だった。


「よこせえええ! そのドロップは俺のもんだあああ!!」


 先頭を走っていた市民が、一人の兵士の肩をつかむ。本来なら流血が飛び散るはずの光景。しかし、レインの構築したシステムはそれを許さない。つかまれた兵士の輪郭りんかくがデジタルノイズのように激しく乱れ、次の瞬間――パリンッ、という乾いた音と共に、兵士の姿は無数の黄金コインへと「変換」された。


『ドロップ確認:1,200,000RC(約1,200万円相当)を個人口座へ入金しました』


 現実世界の肉体は、ただの「接続解除ログアウト」による虚脱状態。だが、その精神アバターが持っていた「価値」のすべてが、一瞬で他人の懐へと流れ込む。それを見た群衆の理性が、完全に吹き飛んだ。


「本当に……コインになったぞ! 一匹も逃すな!!」


 欲望に狂った市民たちが、エリート兵士たちを押しつぶしていく。引き倒され、光の粒子に変えられるたびに、空からは黄金のRCレイン・コインが雨のように降り注いだ。兵士たちの叫び声すらも、システムによって「効果音」へと変換され、闘技場を彩るBGMの一部と化していく。


「やめろ……。私は大佐だぞ! ぐあっ!?」


 マクガイヤー大佐もまた、無数の市民にみくちゃにされていた。彼の意識が暗転する寸前、視界に映ったのは、玉座でワインを揺らすレインの冷徹な眼差しだった。


『大佐、お前という「最高額のレアMob」を誰が手に入れるか。……この結果が、お前たちの正義の末路だ』


 大佐が巨大な光の柱となって消滅した瞬間、彼の全資産、そしてU.G.A.の軍事予算が、市民たちへ「分配」された。現実世界のU.G.A.本部に残されたのは、全資産を失い、文字通り「無価値」となった兵士たちの抜け殻だけだった。

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