【王の逆鱗】シュガーに牙を剥いた運営への神罰。消えゆく少女の手をつかみ、王は『現実(リアル)』の崩壊を宣告する
運営会社『ゼンニス・オンライン・エンターテインメント』のシステム管理室は、逃げ場のない絶望に包まれていた。
「株価がさらに15%下落! 主要な課金層たちが一斉に『レイン・コイン』への資産移転を開始しています!」
「無理だ、止められない! サーバーの根幹コードがレインに掌握されていて、アカウント停止すら弾かれる!」
モニターの青白い光に照らされた開発部長の顔は、どす黒く歪んでいた。
「……ならば、レイン以外を狙え」
「えっ……?」
「奴の協力者だ。内通者……『シュガー』のアカウントを、強制的なオーバーロードで焼き切れ」
それは、対象の脳に過負荷をかけ、安全装置を無視して強制ログアウト――最悪の場合、現実の精神に深刻なダメージを与える、開発者のみが知る禁じ手だった。
その頃、オーバーライド・エンパイアの玉座の間。シュガーは、経済状況のモニタリング中に、異常なアラートを検知した。
「……? 何、これ。システムから直接、私のアカウントに膨大なノイズが……」
「シュガー? どうした」
レインが玉座から立ち上がるのと同時だった。シュガーの華奢な体が、激しいノイズと共に激しく点滅し始める。
「あ、が……っ! 先輩……頭が、割れそうに……っ!」
彼女の瞳から光が消え、膝から崩れ落ちる。アリスが瞬時に駆け寄るが、彼女の腕はシュガーの体をすり抜けた。
「レイン様、これは……! 彼女の存在データそのものが、外部からの強制干渉で崩壊させられています!」
「運営の差し金か……っ!」
エルナが叫び、リヴィアが怒りの咆哮を上げる。シュガーの体は、まるで砂の城が崩れるように、足元から「デジタルな破片」となって消え始めていた。
「せん……ぱい……。ごめんな……さい。私……もう……」
シュガーの手が、震えながらレインに伸びる。彼女は、自分が消されることよりも、レインの「盾」としての役割を全うできないことを、泣き出しそうな瞳で悔いていた。
その瞬間。王宮の空気が、絶対零度まで凍り付いた。
レインの手が、消えかかるシュガーの細い手首をつかむ。本来、データの崩壊中は物理的な干渉は不可能なはずだった。しかし、レインの周囲では、物理法則もシステムも、恐怖に震えるように跪いていた。
「……シュガー。言ったはずだ。お前の『居場所』は、俺が作ったこの国だと」
レインの瞳が、深紅の輝きを放つ。それは、今まで運営を「無能」と見下していた時の冷徹な光ではない。大切なものを傷つけられた、剥き出しの「神の怒り」だった。
「アリス、エルナ、リヴィア。シュガーの魂を、一分間だけ繋ぎ止めろ」
「「「御心のままに!!」」」
三人の全力の魔力がシュガーに注ぎ込まれる中、レインは虚空に向けて、見えない「首筋」をつかむような仕草をした。
「運営ども……。ゲームのルールで遊んでやる時間は、今この瞬間に終わった」
レインの指先が、空間そのものを『引き裂いた』。モニターの向こう側にいる運営幹部たちの悲鳴が、この世界にまで漏れ聞こえてくる。
「――コードを書き換える手間すら惜しい。貴様らの『現実』ごと、崩壊させてやる」
怒りに震える王の宣告が、システムを介して、現実世界の運営本部に直接叩きつけられた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




