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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
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【王の逆鱗】シュガーに牙を剥いた運営への神罰。消えゆく少女の手をつかみ、王は『現実(リアル)』の崩壊を宣告する

 運営会社『ゼンニス・オンライン・エンターテインメント』のシステム管理室は、逃げ場のない絶望に包まれていた。


「株価がさらに15%下落! 主要な課金層たちが一斉に『レイン・コイン』への資産移転を開始しています!」


「無理だ、止められない! サーバーの根幹コードがレインに掌握されていて、アカウント停止バンすら弾かれる!」


 モニターの青白い光に照らされた開発部長の顔は、どす黒く歪んでいた。


「……ならば、レイン以外を狙え」


「えっ……?」


「奴の協力者だ。内通者……『シュガー』のアカウントを、強制的なオーバーロードで焼き切れ」


 それは、対象の脳に過負荷をかけ、安全装置セーフティを無視して強制ログアウト――最悪の場合、現実の精神に深刻なダメージを与える、開発者のみが知る禁じ手だった。



 その頃、オーバーライド・エンパイアの玉座の間。シュガーは、経済状況のモニタリング中に、異常なアラートを検知した。


「……? 何、これ。システムから直接、私のアカウントに膨大なノイズが……」


「シュガー? どうした」


 レインが玉座から立ち上がるのと同時だった。シュガーの華奢きゃしゃな体が、激しいノイズと共に激しく点滅し始める。


「あ、が……っ! 先輩……頭が、割れそうに……っ!」


 彼女の瞳から光が消え、ひざから崩れ落ちる。アリスが瞬時に駆け寄るが、彼女の腕はシュガーの体をすり抜けた。


「レイン様、これは……! 彼女の存在データそのものが、外部からの強制干渉で崩壊させられています!」


「運営の差し金か……っ!」  


 エルナが叫び、リヴィアが怒りの咆哮ほうこうを上げる。シュガーの体は、まるで砂の城が崩れるように、足元から「デジタルな破片」となって消え始めていた。


「せん……ぱい……。ごめんな……さい。私……もう……」


 シュガーの手が、震えながらレインに伸びる。彼女は、自分が消されることよりも、レインの「盾」としての役割を全うできないことを、泣き出しそうな瞳で悔いていた。


 その瞬間。王宮の空気が、絶対零度まで凍り付いた。


 レインの手が、消えかかるシュガーの細い手首をつかむ。本来、データの崩壊中は物理的な干渉は不可能なはずだった。しかし、レインの周囲では、物理法則もシステムも、恐怖に震えるようにひざまずいていた。


「……シュガー。言ったはずだ。お前の『居場所』は、俺が作ったこの国だと」


 レインの瞳が、深紅の輝きを放つ。それは、今まで運営を「無能」と見下していた時の冷徹な光ではない。大切なものを傷つけられた、き出しの「神の怒り」だった。


「アリス、エルナ、リヴィア。シュガーのデータを、一分間だけつなぎ止めろ」


「「「御心のままに!!」」」


 三人の全力の魔力がシュガーに注ぎ込まれる中、レインは虚空に向けて、見えない「首筋」をつかむような仕草をした。


運営ゴミども……。ゲームのルールで遊んでやる時間は、今この瞬間に終わった」


 レインの指先が、空間そのものを『引き裂いた』。モニターの向こう側にいる運営幹部たちの悲鳴が、この世界にまで漏れ聞こえてくる。


「――コードを書き換える手間すら惜しい。貴様らの『現実』ごと、崩壊させてやる」


 怒りに震える王の宣告が、システムを介して、現実世界の運営本部に直接叩きつけられた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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