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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
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【帝都爆誕】才能を解放したプロたちが、運営の数年分を一時間で上書きする

 建国宣言の余韻よいんが冷めやらぬ城壁。

 三万人のプレイヤーたちは、固唾かたずを呑んでレインを見上げていた。


 彼らは運営の杜撰ずさんな仕様変更や、不公平なアップデートに愛想を尽かした「難民」だ。装備を奪われ、パンイチにまで追い込まれてもなおゲームを捨てられなかった彼らにとって、レインの宣言は唯一の福音だった。


「先輩、この三万人の労働力ですが……ただ『養う』だけでは勿体ないですよね?」


 シュガーが端末を叩きながら、不敵に微笑む。その瞳には、リアルの頃にレインの背中を追っていた時と同じ、知的な輝きが宿っていた。


「当然だ。彼らは運営の無能さに愛想を尽かした精鋭たちだ。その力を腐らせておく必要はない」


 レインが右手をかざすと、シュガーが即座にプレイヤーリストから「バックグラウンド・スキャン」を実行した。


「全プレイヤーの『現実世界リアル』の職歴、及び習得スキルを照合。――出ましたよ、先輩。運営の杜撰ずさんな管理に辟易していた、とんでもない逸材が揃っています」


「よし。――現実で建築、都市計画、土木作業の経験を持つ者。前へ出ろ。お前たちの不満、ここでぶつけてみろ」


 レインの声が響き渡る。

 群衆の中から、困惑しながらも数十人の男たちが名乗りを上げた。


 現実世界で巨大プロジェクトを手掛けていたプロフェッショナルたち。彼らは会社が用意した「自由度の低い、ありきたりなハウジングシステム」に、ずっとストレスを溜めていたのだ。


「お前たちは今日から、この国の『建設局』だ。運営のルールという制約はもうない。俺が提供する『無限の資材』と『建築コードの書き換え』を使い、お前たちが描く理想の街を作れ」


制限リミットなし……。陛下、本当に好きにやってよろしいのですか!?」


 一級建築士の男が、全裸のまま目を輝かせる。

 レインは無機質に頷いた。


物理法則コードは俺が書き換える。――アリス、エルナ。そしてリヴィア。奴らに『特権』を付与しろ」


 レインが名を呼ぶと、それまで空でぷかぷかと浮いていた黄金の巨躯きょくが、まばゆい光を放ちながら下降してきた。


「お任せくださいな、主様!

 リヴィアの黄金の鱗は、この街の礎を支える守護の結界となりましょうぞ。……さあ、職人の方々!

 背を足場にするがよいですぞ!」


 リヴィアが巨大な翼を広げ、街を包み込むように滞空する。

 アリスが重力を操作して資材を羽根のように浮かせ、エルナが精霊の加護を付与して建材に「破壊不能」の属性を刻み込んでいく。


 シュガーがシステムの「設置上限」を次々とパージしていく中、建築士たちの情熱が爆発した。


 設計図すら不要。

 一流たちの脳内にある「理想」が、レインの付与した権限によって直接フィールドに書き込まれていく。


 数分でメインストリートが舗装され、数十分で精緻せいちな装飾の施された神殿が組み上がり、一時間後には運営が数年かけても作れなかったであろう「真の帝都」の雛形ひながたが完成した。


「……信じられない。俺たちが本当に作りたかったのは、これだ……!」


 建築士たちは、自分たちの才能を100%解放してくれたレインと、その隣に並ぶ女神たちへの純粋な敬意を抱いてひざまずいた。


 その光景を見ながら、リヴィアは得意げに胸(暴力的な質量)を張り、シュガーに視線を送った。


「ふふん、どうですかな?

 リアルでの付き合いは短くとも、この『貢献度』こそが正妻の証。シュガー殿も少しは主様のお役に立ちなされば?」


「……。さすが金竜様、物理的なマウントは強いですね。でも、次からは『数字』と『権限』の戦いですよ。――先輩、次は運営の財布を空っぽにする『経済革命』の番です」


 こうして、三万人のパンイチ軍団が住まう、神話の如き黄金の都が、瞬く間にその姿を現した。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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