表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
PR
70/159

【建国宣言】三万人の全裸プレイヤーが押し寄せた聖域で、俺は『上書きされた帝国』の独立を宣言する

 城壁の上、数万の群衆を見下ろすレインの背後では、建国式典の直前まで「王の隣」を巡る熾烈しれつな争いが繰り広げられていた。


「……リヴィア、エルナ。そこは私の場所です。予備バッテリーだった私を『管理者の守護騎士』として再定義してくださったレイン様の隣は、私の魂の座標そのものなのです」


 アリスが冷徹に告げ、オリハルコンの包丁を握る。その視線は、リヴィアの「暴力的な胸の質量」と、エルナの「精霊女王の神気」を鋭く牽制けんせいしていた。


「リヴィアは伝説の金竜ですぞ! 主様に直していただいたこの身、隣に寄り添って温めて差し上げるのが最高の恩返しですな。ふふん、この『包容力』こそが王のやしとなるのですぞ!」  


 リヴィアは「ぷかぷか」と浮くような胸を強調し、無邪気な自信を見せる。


「ちょっと! 二人ともはしたないわよ! 私はシステムの監視役として、あんたの不適切な運用を監視するために隣にいるだけなんだから! だいたい、独立だなんて完全に規約違反なんだからね!」  


 精霊女王エルナは真っ赤な顔でレインに指を突きつける。かつて「看守」として彼を縛っていた彼女は、今では自ら現実との接続ラインを切り、一人の女としてその隣を死守していた。


「皆さん、個性が強すぎませんか? でも、リアルで先輩の隣にいた時間は、私が一番長いんですよ。ですよね、先輩? ここは『公式』かつ『後輩』の私と腕でも組んで、世界を驚かせませんか?」  


 シュガーが余裕の笑みで割り込む。リアルの頃からレインを慕っていた彼女にとって、今の状況は「先輩の夢」の実現でもあった。


 アリスの背後に《管理権限:抹消》のアイコンが浮かび上がる。


「……デリート。やはり、今すぐこの不届き者をゴミ箱に叩き落とすべきですね。レイン様の隣に相応しいのは、私一人で十分です」


 四人の視線が交差し、爆発寸前の殺気が漂う。だが、眼下の三万人はそのプレッシャーを「王を支える四柱の女神による神気」だと勘違いし、いっそう激しくスコップを振り回して叫んだ。


「――静かにしろ」


 レインが短く一言放つ。その瞬間、喧騒けんそうも、背後の四人の言い争いも、心臓をつかまれたかのようにピタリと止まった。


 レインは一歩、城壁の前へと進み出る。朝日が黒い外套がいとうを黄金に縁取り、その姿は運営が認めた「公認」を越え、世界の理そのものを支配する絶対者だった。


「これより、この場所――『自由都市・セクター99』の独立を宣言する」


 全プレイヤーの視界に、虹色のシステムメッセージが強制表示される。だが、レインはそこで言葉を止めなかった。


「……いや、セクター99の名は捨てよう。運営が付けた番号など、俺の国には不要だ」


 レインが手を掲げると、シュガーが即座に端末を操作し、全サーバーの座標データを書き換える。三万人のプレイヤーが見上げる中、虚空に浮かぶ都市名がノイズと共に再構築リビルドされていった。


「我が国の名は、『オーバーライド・エンパイア(上書きされた帝国)』。神のルールはすべて塗りつぶした。俺が許す者が生き、俺が望むルールだけが法となる。武器を捨て、従う者には、この街のすべてを約束しよう」


 シュガーの操作により、街全体に「無敵フラグ」が上書きされ、巨大な障壁が展開される。


「――文句があるなら、いつでも来い。まとめてゴミ箱 に叩き込んでやる」


 地響きのような大歓声が巻き起こった。

 三万人の全裸プレイヤーたちが、涙を流して「レイン陛下!」と叫ぶ。


 アリスは至福の表情で、その背中を仰いでいた。


 一方、エルナは――


「……勝手なんだから、バカ」


 小さく毒づきながら、かつて拒絶していたレインの外套がいとうを、ぎゅっと握りしめていた。


 こうして、世界で最も不謹慎で、最も強固な『絶対聖域』が、一人の男の手によって、産声を上げた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけた方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。


 どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ