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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
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運営の敗北、俺の公認。〜メインサーバーに毒を仕込んだら、「神」を名乗る連中が俺に跪いた〜

 深夜二時三十分。


 メンテナンスの静寂に沈むセクター99。その空を覆っていた運営の「論理爆弾」が、音もなく霧散を始めていた。


「……消えた、の?」


 城壁の上で、エルナが震える拳を握りしめていた。

 彼女たちにとって、運営の消去プログラムは抗いようのない「死の宣告」だ。覚悟はしていた。だが、いざ空が晴れると、立っていられないほどの安堵あんどおそう。


「べ、別に心配なんてしていませんでしたわ!

 あの男なら、どうせ死んだふりでもして逃げ回るに決まっていますもの……っ」


 リヴィアは涙をボロボロとこぼしながら、子供のように鼻をすすり、空を見上げた。


「……助かったんですぞ。……本当に、本当にもうダメかと思いましたぞ……っ。

 主様は、やはり私たちの本物の『神様』だったんですな……!」


 アリスだけは、無言でテラスの「彼が消えた場所」を凝視し続けていた。



 ――そして、空間が歪む。

 ノイズと共に、黒い外套がいとうひるがえしたレインが、何事もなかったかのようにそこに現れた。


「レイン様!」


 アリスが真っ先に駆け寄る。その瞳には、普段の冷静さからは想像もできないほどの不安と、再会の歓喜が混じり合っていた。


「……ああ。予定通り、運営の連中に『教育』をしてきた。

 当面、ここを消そうなんて馬鹿な真似はしないだろう」


 レインは淡々と告げるが、まとう空気は、以前よりも鋭く、そして王としての風格に満ちていた。



 一方、運営会社のサーバー管理室。

 強制ログアウトされたスタッフたちが、脂汗あぶらあせを流しながら自席に戻っていた。


「おい、責任者はどうした!?

 さっきゴミ箱 ……いや、消えたあの人は!」


「知らないわよ!

 それよりログを見て! セクター99の座標データが、メインサーバーの重要領域に『自己増殖型プロテクト』で固定されてる!」


 スタッフの一人が悲鳴を上げる。

 レインはただ防衛したのではない。運営の心臓部に「自分が消えればサーバー全体がクラッシュする」という毒を仕込んで帰ったのだ。


 その混乱の端で、シュガー――サトウは、自分の端末に届いた小さな通知を見て、口元を緩めた。

 それは、レインが去り際、運営のメインフレームをいじくった際についでに書き換えた、彼女の「社内評価」と「権限ランク」の向上データだった。


(……先輩。復讐ふくしゅうするついでに、私の足場まで固めてくれるなんて。……本当に、甘いんだから)


 彼女は、自分が次に成すべきことを理解した。

 パニックに陥る上司や同僚を尻目に、彼女は毅然きぜんと立ち上がる。


「皆さん、落ち着いてください!

 責任者が不在の今、私がこの事態を『公式イベント』として処理するプランを作成しました。承認を!」


*


【ワールドアナウンス:セクター99の領主レインを、当サーバー初の『公認王』として選出しました。これに伴い、全プレイヤーは……】


 こうして、運営は「レインに負けた」事実を隠蔽いんぺいするために、彼を「公式な王」として担ぎ上げる道を選ばされた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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