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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
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監視対象は元先輩 ―運営側の内通者(シュガー)と銀の鍵―

 メインサーバーへの逆侵攻により、運営の消去プログラムを物理的に「書き換え」てから数時間。

 メンテナンスが明け、平和な朝が戻った街の裏路地。

 レインは一人、シュガーから指定された特殊な座標に立っていた。


 そこは、一般プレイヤーには「ただの壁」に見えるが、特定のパケットを送ることで入れる、運営用の隠しチャットルーム(プライベート・ラウンジ)。


「……先輩。本当に、無茶苦茶しますね」


 暗がりに現れたのは、黄金の仮面を外し、肩の力を抜いたサトウ――シュガーだった。

 彼女は周囲を遮断しゃだんする結界を張ると、ふぅ、と長い溜息をつく。


「前の現場プロジェクトで、三日徹夜してサーバーのバグを叩いてた時を思い出しましたよ。あの時も、最後に先輩が全部解決しちゃうから……私は、ずっと追いかけるだけで精一杯で」


「……あの時は悪かったな。お前にばかりテストを押し付けて」


「ふふ、いいんですよ。……私、あの現場が一番楽しかったんですから。今の会社は、効率と利益ばっかり。先輩が愛した『世界』を、ただの集金装置だと思ってる連中ばかり……」


 シュガーは、レインの顔を真っ直ぐに見上げた。

 かつての現場では、性別を隠すためにダボついたパーカーで隠していたが、今の彼女は、この世界で最も美しいとされる調整官モデレーターのアバターをまとっている。


「先輩。今の会社(運営)は、今回の件を『甚大なエラー』として処理しました。表向きは『新イベントのテスト導入』としてプレイヤーに説明しています。運営本部は地獄絵図でしたよ。数時間でバックアップをつなぎ合わせないと、会社が倒産しかねませんでしたから」


「……だろうな。あいつらの面子プライドからすれば、それが限界だ」


「でも、次は本気で来ます。……だから、これ」


 彼女はそっと、レインの手に小さな「銀の鍵(物理アクセス権)」を握らせた。


「私、ここの運営側から、先輩の動向を監視ウォッチする担当に立候補しました。……つまり、私が報告を誤魔化している間は、先輩は自由に動けます」


 それは、彼女にとっての「二重生活ダブルスパイ」の始まりだった。


「……いいのか。見つかれば、今度は本当にお前の居場所がなくなるぞ」


「いいんです。私、先輩が作ったこの街が大好きなんです。……アリスさんたちも、すごく幸せそうだし」


 彼女は少しだけ顔を赤らめ、はにかむように笑った。

 四人目のヒロイン。

 運営側の「内通者」としての、彼女なりの戦いが決まった瞬間だった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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