【管理者権限:Level 10】「邪魔ならルールごと書き換える」 ――未実装エリアに君臨した俺と、ゴミのように捨てられたトップギルド――
新世界、『エターナル・レジェンド』。
そこは、数百万人のプレイヤーが「第二の人生」を謳歌する、世界最大級の仮想空間だ。
その朝。
未実装の原生林を切り裂いて、一隊のプレイヤーが姿を現した。
「……おい。マジかよ、これ」
トップギルド『鉄血の牙』の斥候パーティ。
そのリーダーが、信じられないものを見たという顔で立ち尽くす。
視線の先には、昨夜まで地図に存在しなかったはずの、白亜の城壁に囲まれた「街」が、朝靄の中で輝いていた。
「エリアの読み込みエラーじゃない。……おい、見ろよ!
住人(NPC)たちが歩いてる。それも、見たこともないほど精巧なグラフィックだぞ」
「……不気味だわ。公式のアナウンスなんて一度もなかったのに」
彼らが恐る恐る街の入り口へ近づこうとした、その時だった。
「――立ち入り禁止だ、と言わなかったか?」
静かな、だが心臓を直接射抜くような声が突き抜けた。
プレイヤーたちが目にしたのは、街の門に背を預け、空中に浮かぶ半透明のパネルを操作している一人の青年だった。
レインが指を弾くと、プレイヤーたちの目の前に、今まで見たこともない真っ赤な『警告(WARNING)』のウィンドウが突きつけられた。
「な、なんだ!? システムメッセージが……文字化けしてやがる!」
「おい、こいつの名前を鑑定しろ!
……っ、鑑定が通らない!? レベルが……『ERROR』……だと?」
プレイヤーたちが混乱に陥る中、レインの視界には、彼らとは全く別の景色が広がっていた。
【管理者権限:システムコンソール】
・世界コード:EL-01『エターナル・レジェンド』接続済み
・現在地:セクター99(未実装エリア)
・ステータス:管理者(Admin)
・干渉権限:Level 10(最高レベル)
【対象:一般プレイヤー 5名】
・処理案:
1. ログアウト強制実行
2. 記憶データの改ざん
3. 物理演算の固定(石化)
「レイン様。お茶の準備が整いました。
……その汚らわしい連中、消してしまいましょうか?」
レインの背後から、完璧なドレスを纏ったアリスが優雅に現れる。
その美しさと、彼女から放たれる殺気のような魔力に、プレイヤーたちは息を呑む。
「……いや、いい。ちょうどいい『観測用サンプル』だ」
レインはパネルを閉じると、初めてプレイヤーたちへ視線を向けた。
その瞳には、かつて「番号」で呼ばれていた青年の面影はない。
「ここは俺たちの街だ。
……今のところ、お前たちの神(運営)に挨拶するつもりはないが、邪魔をするなら――
この世界のルールごと、書き換えさせてもらう」
レインが指を鳴らした瞬間。
プレイヤーたちの視界が真っ白に染まり、彼らは気づいた時には、数キロ離れた街の外縁まで「座標転送」されていた。
本来なら記憶を改ざんして消し去ることもできたが、レインはあえてそれを選ばず、恐怖を刻みつけたまま解放した。
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