強制アクセス。俺を使い捨てた「クソゲー」に現実の引導を
上位世界――その正体は、現実世界のオフィスの一室。
「おい、このエラーログは何だ!? サーバーの再起動が止まらないぞ!」
怒声を上げたのは、レインを裏切り、彼の成果を盗んだ部長だった。
「ダメです部長、管理者パスワードが通りません! 外部からのハッキングじゃなくて……これ、ゲーム内からの管理者権限の上書きです!」
「馬鹿な……! 中にいるのは、記憶を消して閉じ込めた『レイン』というただのデータのはずだろうが!」
部長がモニターを睨みつける。そこには、黄金の竜を従え、二人の美女を傍らに置いたレインが、悠然とこちらを見上げていた。
『……聞こえるか、部長。随分と慌てているようだな』
「レ、レイン……!? 記憶を消したはずのお前が、なぜ……!」
『ああ、あんたの「罠」は完璧だったよ。俺を過労死寸前まで追い込み、事故に見せかけて意識をこの未完成ゲームにダイブさせ、俺の人生と成果を丸ごと奪った……』
レインが、かつて深夜のオフィスで感じた「冷たい孤独」と「絶望」の記憶を噛み締めるように目を細める。
『だが、あんたはエンジニアとして致命的なミスをした。……このゲームに、「誰にも干渉できない、俺だけの愛」を込めていたことを忘れていたな』
レインの言葉に呼応し、アリスが冷静にキーボードを叩くような仕草を見せる。
『アリス、状況を報告しろ』
『ええ、レイン様。部長の端末を経由し、彼が隠蔽していた「プロジェクト乗っ取りの証拠」と「裏金口座」の全データを掌握しました。……今この瞬間、全株主、提携企業、そして捜査機関へ向けて送信予約をセットしましたわ』
「な……ッ!? お前、何を……!」
『私の「実地インフラ」制御で、この世界を「外部」から完全に切り離すわ。部長、もう外の誰にも、あなたを助けることはできないわよ?』
モニターの中で、エルナが展開した巨大な魔法陣が、現実世界のサーバーラックの冷却ファンを限界まで加速させる。
『むふー! 主様、あの「おじさん」が持っているキラキラした新作データ、美味しそうな匂いがしますな!』
リヴィアが画面の端まで歩み寄り、牙を剥く。
『リヴィア、食い破れ。こいつらが俺から奪った「未完成の夢」の続きを、全部お前の血肉にしていいぞ』
『了解ですな! いただきますな!』
リヴィアが咆哮した瞬間、部長の目の前のモニターが強烈なノイズを発し、バキリと亀裂が入った。
『部長。……お前たちを「神の座」から引きずり下ろして終わりだ。次は、俺が味わった「地獄の続き」をたっぷりと味わうがいい』
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