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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第4章:絶対神の新婚生活。説教する精霊女王と究極の箱庭づくり
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【修羅場】精霊女王の『正論パンチ』vs 側近アリスの『全肯定バリア』

 翌朝。俺が目を覚ますと、右腕にはぐっすり眠るリヴィアの柔らかな重みがあり、左側からはアリスの熱い視線が突き刺さっていた。


「……おはようございます、レイン様。昨夜の『同期』、心ゆくまで堪能たんのうさせていただきましたわ」


「あ、ああ、おはよう……。リヴィアが窓を突き破ってきた時はどうなるかと思ったけど、よく眠れたよ」


 アリスは満足げに微笑んでいるが、その背後には、昨夜の惨状さんじょうを修復した跡と……そして、朝食の準備を整えたワゴンが置かれていた。


 だが、食堂へ向かうと、そこには眉間に深いしわを寄せた精霊女王エルナが、腕を組んで待ち構えていた。


「ちょっと! 管理者ともあろう者が、いつまで寝てるのよ! だいたい、昨夜のあの騒ぎは何!? 隔離領域(寝室)から、規約違反レベルの致死量に近い『甘い魔力』が漏れ出していたんだけど!」


 エルナは顔を真っ赤にして、俺に指を突きつける。彼女は一応、旧世界の「秩序」そのものだ。


「……エルナ。朝から元気だな。アリスのOSが不安定だったから、調整してただけだよ」


「調整!? あんなのただの痴話喧嘩ちわげんか……いえ、不純異性交遊よ! いい? レイン。この庭の主としての自覚を持ちなさい! 管理者たるもの、常に冷静沈着、ヒロインたちには平等に……」


「……平等、ですって?」


 アリスの手元で、お盆がミシリと音を立てた。彼女の瞳から温度が消える。


「旧式のバグ(エルナ)が、随分と大きな口を叩きますわね。レイン様を不自由なおりに閉じ込めていたシステムの残滓ざんしが、『やし』に口を挟む権限などございません。……それとも、今すぐその光輪を砕いて、私の下着の予備にでも作り替えましょうか?」


「なっ……! 下着!? 失礼ね、これでも私は世界の意志なのよ! 正論を言ってるだけじゃない!」


「その『正論』がレイン様を孤独にしたのです。今のレイン様には、正論よりも、私という『全肯定(愛)』が必要なのですわ」


 エルナとアリスがバチバチと視線をぶつけ合わせ、空気中に黄金の火花が散る。


「むふー! 朝から二人とも元気ですな! 主様、喧嘩けんかはお腹が空くですぞ。リヴィアはパンのお代わりが欲しいですな!」


 リヴィアだけが、空気を読まずに黄金の果実のジャムを塗ったパンを頬張ほおばっている。


「……。二人とも、そこまでにしておけ。エルナ、お前が正論を言うのは『仕事』なんだろうけど、ここはもう、お前のいた世界じゃない。俺の庭なんだ」


 俺がそう言ってエルナの頭にポン、と手を置くと、彼女は「ひゃぅっ」と情けない声を上げて硬直した。


「……な、なによ……。子供扱いしないで……。私はただ、あんたが変な方向に暴走しないか心配で……っ」


 顔を真っ赤にしてうつむくエルナ。どうやら「説教」は、彼女なりのコミュニケーション……あるいは、自分もレインの役に立ちたいという、不器用な自己主張らしい。


「レイン様。……あまり、その女を甘やかさないでくださいませ。……あとで、私にももう一度、頭をでる『同期』をお願いしますね?」


 アリスが俺の腕にぎゅっと抱きつき、エルナを勝ち誇ったように見せつける。最強の管理者である俺の庭は、今日も絶世の美女たちの愛と嫉妬しっとで、旧世界よりもずっと騒がしく、そして温かかった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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